2019 Fiscal Year Research-status Report
磁気流体シミュレーションを用いた原始星への質量降着最終過程の解明
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18K13579
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高棹 真介 大阪大学, 理学研究科, 助教 (90794727)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 磁気流体力学 / 星形成 / 降着円盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は原始星へのガス降着における最終段階の過程、つまり降着円盤の内縁の物理を明らかにすることである。本年度は星周円盤内縁の磁場が強い状況に関する3次元シミュレーションを行い、突発的な磁気エネルギーの解放現象が繰り返し起きることを見つけた。そして、発生機構が降着による磁場の原始星への蓄積と、磁気リコネクションという物理機構が介した磁場の放出によることも明らかにした。その爆発の性質はX線観測で見つかっている原始星フレアと呼ばれるものと整合的なので、原始星フレアの発生機構を初めて3次元磁気流体シミュレーションによって見つけたことになる。原始星フレアは星・円盤境界層付近での磁束分布の決定に重要であることもわかった。円盤内の磁場分布は円盤進化の決定に重要なので、意義深い。この成果は査読論文として出版されており (Takasao et al. 2019 ApJL)、国内外の研究会でも成果を報告している。また輻射輸送部分に関するコード開発も進めた。Flux Limited Diffusion 近似を用いたコードを現在開発・テストしている段階である。既存のスキームに比べて比較的単純に輻射輸送を扱えるよう定式化し、その実用性を確認している段階である。本研究では輻射輸送よりも磁気流体部分の計算に計算資源を使う必要があるため、必要な取り組みである。現実的なモデルの構築に必要なオパシティテーブルや現実的な状態方程式のテーブルの準備も終えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は輻射輸送モデルの完成には至らなかったものの、コード開発の進展や査読論文の出版があるため「おおむね順調に進展している」と判断した。輻射輸送に関する部分は想定していなかった問題がいくつかあり、また自身が年度内に2度異動する必要があったことから、コード開発に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って進める。まず輻射輸送部分のコード開発を済ませつつ、現状のモデルの範囲で星表面と円盤内縁の両者を直接解く相互作用モデルの計算結果を出していく。星自転速度、降着率と円盤磁場強度をパラメータとして変え、境界層の構造が磁場によってどのように変わるのかを明らかにする。そして熱注入量や角運動量の輸送過程を詳細に調べる。
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Research Products
(13 results)