2020 Fiscal Year Research-status Report
磁気流体シミュレーションを用いた原始星への質量降着最終過程の解明
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18K13579
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高棹 真介 大阪大学, 理学研究科, 助教 (90794727)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 磁気流体力学 / 星形成 / 降着円盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は原始星へのガス降着における最終段階の過程を磁気流体シミュレーションを用いて明らかにすることである。当該年度では目的達成のためのコード開発を進めることに注力し、3次元モデルのテスト計算を開始した。前年度にオパシティのテーブルや現実的な状態方程式のテーブルの準備を終え、今年度は輻射輸送コードの開発と、計算領域内に原始星を設置するための準備を行った。原始星の初期条件を与えるために、1次元原始星進化計算コードに基づく原始星の全球データ(京都大学の細川准教授提供)を3次元モデルに組み込むように自分のコードを用意した。静水圧平衡な星の分布を維持するため、空間4次精度の計算スキームも用意した。そのような準備ののちに原始星を3次元領域内に置き、1次元モデルで対流不安定層である領域が3次元モデルでも対流する様子を確認することができた。磁場を計算内に入れた計算も行えることを確認しており、初の原始星表面を含む3次元磁気流体モデルの土台ができてきたと言える。当初は2次元軸対称モデルの構築から始める予定だったが、球座標系を使う限りは星内部の内側境界条件の影響がどうしても大きく残ることがわかった。具体的には、星が自転するときに内側境界での圧力などの分布を力学平衡を維持しつつエネルギー輸送とも整合的になるように設定することが困難だという点である。そこで予定を変更しはじめから3次元カーテシアン座標系で全球モデルの構築をすることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は磁気流体モデルの計算結果を論文出版にまとめることができなかったものの、目標達成の肝となっている原始星の3次元磁気流体モデルの構築を大きく進めることができたため、概ね順調に進展していると判断した。特に1次元原始星データを自身の計算モデル内に整合的に組み込めるよう定式化をできた点が大きい。当初は2次元軸対称モデルから進めようと思っていたが、球座標系を使う限りは星内部の内側境界条件の影響がどうしても大きく残ることがわかったため、予定を変更し3次元カーテシアン座標系で全球モデルの構築をすることにした。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した3次元磁気流体原始星モデルを用い、当初の計画に沿って研究成果を創出していく。降着を受ける原始星の3次元計算を行い、どのように降着ガスが星内部に取り込まれていくか、降着率によって原始星・円盤境界領域の厚みなど幾何学的構造がどのように変わるかを調査する。
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Research Products
(6 results)