2020 Fiscal Year Research-status Report
分子雲コア精密観測による乱流起源の超低質星/褐色矮星形成メカニズムの調査
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18K13582
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
徳田 一起 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (60802139)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分子雲コア / 褐色矮星形成 / 小質量星形成 / ALMA / 電波望遠鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
超低質量星や褐色矮星の形成機構に関しては 1 太陽質量程度の星の形成機構に比べて大きく取り遅れている。その理由としては、母体となる非常に高密度で低 質量なガス塊の形成要因が理解されていないことが挙げられる。本研究では、ALMA (Atacama Large Millimeter/sub-millimeter Array)を用いることにより、超低質量星の母体となる高密度分子雲コアの観測し、その形成メカニズムに迫るものである。太陽系近傍にある分子雲コアをALMAを用いて観測するとこにより、超低質量で高密度なガス塊がどの程度の割合で埋もれているかを調査する。さらに同望遠鏡を用いて複数分子輝線での高い空間分解能での観測を実施し、高密度コア形成に周囲の環境 (乱流) がどのような役割を果たしたかを明らかにする。 本年度までに、乱流分子雲コア中で形成された、超高密度/低質量の分子雲コアの存在や(Tokuda et al. 2018, ApJ, 826, 8)や、おうし座領域の星なし分子雲コアにおいてMC5Nという天体が最も密度が高く、かつ分子雲コアの質量が典型的なものと比べて1桁近く小さい(0.2-0.4 太陽質量程度)ことを見出したことを報告した(Tokuda et al. 2019, PASJ, 71, 73)。本年度は、ALMA Cycle 6で採択されたおうし座領域における30個以上に渡る分子雲コアのサーベイ観測のデータ解析/論文化を行い、これまで見出されてこなかった、高密度分子雲コアの統計的性質や、星形成直前の複雑な分裂/合体構造などが見出され、褐色矮星だけでなく一般的な太陽質量程度の天体において数1000au程度の内部構造が星形成前に発達すること及びその時間スケールを明らかにした(Tokdua et al. 2020, ApJ, 899, 10)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究ではTokuda et al. 2018, Tokuda et al. 2019の成果を受けて、おうし座領域全域にわたる分子雲コアのサーベイを実行することができた。褐色矮星に至る可能性が大きい分子雲コアはTokuda et al. 2019で検出したもののみであったが、その統計的な存在量より、分子雲が分裂し褐色矮星形成に至る前駆体は基本的には希であることがわかった。これは当初は予想していなかった成果である。高密度分子雲コアの統計的性質や、星形成直前の複雑な分裂/合体構造などが見出され、褐色矮星だけでなく一般的な太陽質量程度の天体において数1000au程度の内部構造が星形成前に発達すること及びその時間スケールを明らかにすることができた(Tokdua et al. 2020)ため、区分を(1)と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
対面での研究発表の場が確保できなかったので、新型コロナウィルスの感染拡大状況次第ではあるが、国内外の研究会で発表を行う。また現在、南のかんむり座領域のALMA望遠鏡を用いた観測データの解析にも着手しており、おうし座領域で見れたような褐色矮星の前駆体となるような分子雲コアがどの程度存在しているかを明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスのため、学会発表や研究打ち合わせに関する出張が不可となり、旅費が大幅に使用できなかった。次年度については、感染状況にもよるがこの予算を用いて各種学会発表に参加する予定である。
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[Presentation] ALMA ACA による小マゼラン雲超広域 CO 探査 (1): CO 分子雲の大局的分布2021
Author(s)
徳田一起, Zahorecz Sarolta (大阪府大/国立天文台), 大野峻宏, 柘植紀節, 立原研悟, 福井康雄 (名古 屋大), 佐野栄俊, 河村晶子 (国立天文台), 近藤滉, 小西亜侑, 村岡和幸, 大西利和 (大阪府大), 福島肇 (筑波大), 竹腰達哉 (北見工業大)
Organizer
日本天文学会2021年春季年会
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[Presentation] ALMA ACA サーベイで探る Taurus 領域分子雲コア進化の統計的研究 (4): N2D+ 輝線と1.3 mm連続波の比較から考察する分子雲コア進化段階2020
Author(s)
徳田一起, Zahorecz Sarolta (大阪府大/国立天文台), 立原研悟, 福井康雄, 犬塚修一郎 (名古屋大), 松 下祐子, 西合一矢, 河村晶子 (国立天文台), 松本倫明 (法政大), 町田正博, 佐伯優, 原田直人, 柳玉華, 山崎駿 (九州大), 富田賢吾 (大阪大), 山崎康正, 大西利和 (大阪府大)
Organizer
日本天文学会2020年秋季年会
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