2019 Fiscal Year Research-status Report
画像認識アルゴリズムを利用した太陽ダイナモ理論モデルの観測実証
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18K13583
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
飯田 佑輔 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10706328)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 太陽ダイナモ / ビッグデータ / 画像認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に結果が見え始めた「子午面還流の磁気塊パラメータ依存性探査」の精度向上に取り組んだ。 「子午面還流の磁気塊パラメータ依存性」は、昨年度に結果が見え始めていたが、その探査精度は不十分であった。原因は解析データ数の不足であり、その要因は解析計算に大きな時間がかかることであった。そこで、昨年度にコンピュータ言語Pythonで開発した磁気要素の自動追跡アルゴリズムについて、さらなる高速化を行った。具体的には、画像データの読み込みをまとめその回数を減らしたこと、磁気要素の追跡方法をPythonに最適な形(ベクトル化)して行うようにしたこと、計算結果のアウトプットをまとめて減らすこと、の改良を行った。この結果、より多くのデータ解析を現実的な時間で行うことができるようになり、子午面還流の検出精度が向上した。このコードを用いた解析から、昨年度に見え始めていた「サイズが大きい磁気塊の方が、大きな子午面還流を持つ」ことをより高い精度で実証できた。この結果は、学術論文への出版を準備中である。また、この解析計算時間の短縮によって、最終年度の実施内容である「子午面還流の領域別探査」も行える土壌がそろったと言える。 一方で、本研究計画実施中に会得した画像判別技術を応用し、太陽表面でみらえる対流セル構造の自動追跡コードを開発し、そちらについても1/100画素スケールの運動を検知しており、予想以上の高精度を得ている。これは当初の研究計画には含まれていなかった内容であるが、対流-磁場相互作用という太陽ダイナモ問題の鍵をこれまでにない精度で観測実証しうる可能性を秘める結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画2年目である本年度は、当初の研究計画通り「子午面還流の磁気塊パラメータ依存性探査」までを行ったため、おおむね順調に進展しているといえる。また、磁気塊の自動認識・追跡コードの開発においても、初年度に比べて高速化に成功しており、その点も順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果である「子午面還流の磁気塊パラメータ依存性探査」の結果を学術論文にまとめつつ、最終年度の研究計画である「子午面還流の太陽磁場領域依存性」に挑戦する。領域依存性の探査には、その自動分割手法が必要となるのでデータ入手と並行してコード開発を進める。また、余裕がある場合は本年度開発した表面対流セルの自動追跡手法も用いて、磁場-対流場相互作用の解析にも着手する。
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Causes of Carryover |
本年度の学術論文出版が間に合わなかったため.
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