2021 Fiscal Year Research-status Report
Validation of New Measurement Tools of Star Formation Rate in radio wavelength
Project/Area Number |
18K13587
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
三浦 理絵 国立天文台, アルマプロジェクト, 特別客員研究員 (30770698)
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Project Period (FY) |
2019-02-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大質量星形成 / 星形成率 / 近傍銀河 / サブミリ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
星形成率は、銀河の進化を理解する上で重要な要素の一つである。星形成率の決定には、若い大質量星からの放射による紫外線/可視光データ、周りのダストによる赤外線放射などのデータを使うのが一般的である。しかしながら、前者はダストによる吸収の影響が大きい、後者は空間分解能が他に比べて低いという欠点があった。一方、電波データから星形成率を推定することもあるが、これらのデータは比較的放射が弱く、検出できる天体が限られるという欠点があった。しかし、ALMA望遠鏡を使えばこれらの欠点を補うような高い感度・空間分解能の電波データが取得可能である。本課題では、ミリ波サブミリ波水素再結合線、および100GHz帯連続波を用いてた新しい星形成率測定方法の有用性を検証する。 2021年度は、すばる望遠鏡で取得された近赤外撮像データを再解析後、PSF測光を行い、M33銀河内での南北渦状腕両領域の測光カタログを構築した。さらに、公開されているM33内水素電離領域NGC604の測光カタログと星のスペクトル情報を使って、JHK等級や位置情報から若い大質量星候補星(MYSO)を予測する機械学習モデルを構築し、検証データでは99%の精度を出すことに成功した。この機械学習モデルを本研究にて作成した測光カタログに適用することで、MYSOを同定した。MYSOがクラスターとなっている領域は、本研究で取得したミリ波連続波が検出した領域とほぼ一致することも確認したため、未知のデータに対する本モデルのパフォーマンスは良好であると判断する。 また、M33北渦状腕にある巨大分子雲には、ミリ波連続波もMYSOもないことを確認し、ALMA高分解観測の結果(Kondo et al. 2021)を支持する結果となっている。 以上の結果については、ALMA望遠鏡で取得された分子ガス輝線との比較も含めながら、現在論文執筆を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度の計画は、(1)すばる望遠鏡で取得された近赤外データ、M33北側南側渦状腕のデータについて、PSF測光と種族モデルとの比較、(2) ALMAデータの追加解析、近赤外線で大質量星候補天体との空間的比較、および星形成率などの量的比較を行う (3)中遠赤外線データを用いて、それぞれの領域について星形成率を求め、本課題のデータから得られたそれとを比較すること、であった。 (1)について、想定よりも星密度が高く、撮像データのバックグランドの光度ムラが解析に影響があったため、バックグラウンドの差し引きのやり直しを行なったものの、最終的には測光カタログを再構築することができた。また、JHK等級からMYSOを予測する候補機械学習モデルに、密度分布を新しい入力変数として追加することで、検証データではより精度の高いモデルの構築ができた。(2)について、比較的小さい星形成領域において、さらなるデータ加算により連続波の検出を試みたが、検出に至らなかった(80領域中16領域のみ検出。)。(3)については、赤外線アーカイブデータから各星形成領域に対して(分解できるもののみ)、星形成率を算出した。 以上のように進捗はあるものの、想定外にデータ再解析に時間を費やしたため、全体的にやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、すばる望遠鏡で取得された、M33北側南側渦状腕の近赤外データで得られたMYSOとALMA望遠鏡で得られた電波データ(分子雲分布と自由自由放射検出領域)とを空間的比較、および星形成率などの量的比較を行う。電波連続波データについては、ALMAアーカイブで公開されている他のデータを加算することで、信号検出できる領域がないか確認する。 中遠赤外線データについては、赤外線データが専門の共同研究者と引き続き議論しながら進める。 国内・国外研究会において、研究成果を発表していく。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスによる渡航制限により、研究成果を発表するためや共同研究者との打ち合わせのためのの経費で未使用額が生じた。2022年度は、論文投稿・資料 収集のために、研究打ち合わせのための経費や、研究発表のために使用する予定である。
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