2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18K13601
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
藤井 友香 国立天文台, 科学研究部, 准教授 (20713944)
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Project Period (FY) |
2019-02-01 – 2024-03-31
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Keywords | 系外惑星 / 惑星大気 / ハビタブルゾーン / 地球型惑星 |
Outline of Annual Research Achievements |
低質量星のハビタブルゾーン付近を公転する地球サイズの惑星が検出されており、表層環境の調査が期待されている。惑星がトランジットしていれば主星光や惑星半径を決定できスペクトルの解釈が比較的容易だが、太陽系から数パーセク程度以内のフォローアップ観測に有利なハビタブル惑星候補についてはどれもトランジットが検出されておらず、視線速度観測により下限質量が得られているのみである。このような太陽系近傍の非トランジットハビタブル惑星候補の表層環境を特徴付ける観測方法を開拓するため、主星-惑星のコントラストが改善する中間赤外線の観測に注目し、公転に同期した惑星光フラックスの変化(フェーズカーブ)あるいはドップラー効果による波長の変化を利用することで主星光を打ち消すことなく惑星光を同定する可能性を検討した。 低質量星周りの同期回転した地球型惑星の3次元気候計算によって、大気圧・大気組成に依存した惑星熱放射フェーズカーブのモデリングを行った。海に覆われた惑星では中間赤外線におけるフェーズカーブの振幅が大きく抑制される(特にハビタブルゾーンの内側付近において)が、水のない惑星では10bar以下程度であればフェーズカーブの波長依存性にCO2等の大気分子の特徴がみられ、安定性が非常に高い分光器を搭載した将来宇宙望遠鏡(GREX-PLUSなど)での検出が期待できることが示唆された。フェーズカーブでの観測が難しい大気圧が大きい場合にはドップラー効果を利用した観測が考えられるが、この場合のシグナルは大きく減少し、6メートルクラスの宇宙望遠鏡が必要であることが分かった。 また、このような低質量星周りのハビタブル惑星において、バイオシグニチャーとなりうる揮発性有機物の大気中の安定性を、炭素の数や不飽和度や官能基ごとに評価し、中間赤外線における検出可能性を調べた。
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