2018 Fiscal Year Research-status Report
乱流統計理論による大気エアロゾルの粒径分布形成メカニズムの解明
Project/Area Number |
18K13611
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
齋藤 泉 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70798602)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乱流理論 / 衝突 / エアロゾル粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大気エアロゾル粒子など微小粒子群の衝突・合体成長によって形成される粒径分布を考え、その形成メカニズムを乱流統計理論および直接数値シミュレーションによって明らかにすることである。 初年度は最もシンプルな系として、3次元一様等方乱流中で衝突・合体成長する球形の非慣性粒子を考えた。この系における粒子の衝突率は、いわゆるサフマン・ターナーの衝突カーネル(Saffman and Turner, 1956, JFM)で与えられる。あるサイズで粒子が継続的に生成され、それらが衝突・合体によって成長し、より大きな別のサイズで(例えば重力沈降等により)除去されることで、平衡状態が達成されるとした。粒径分布の時間発展を記述するスモルコフスキ方程式に波動乱流の理論を応用することにより、平衡状態における粒径分布が(粒子体積について)マイナス2のベキ則を示すことを示し、また無次元係数の解析的表現を得た。このベキ則は2次元乱流のエンストロフィーカスケードレンジと同様の特徴を持つことが明らかになった。大型計算機を用いた直接数値シミュレーションにより、平衡状態における粒径分布が理論予測と一致することを確かめた。また、乱流シミュレーションにおいて報告されている「ボトルネック効果」と類似の現象が、本研究のシミュレーションにおいても見られた。 以上の成果を学会や研究会で発表するとともに、査読付英文誌に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目標は、衝突・合体する粒子群の系への乱流理論の応用、粒径分布・無次元係数の解析的導出、数値シミュレーションによる検証であった。3次元一様等方乱流における非慣性球形粒子は、いくぶん理想化された系ではあるものの、これらの応用・検証が成功したことは今後のための重要な一歩である。また、衝突・合体する粒子の系においてボトルネック効果が現れることを直接数値シミュレーションで確認したのは、本研究による新しい成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度では乱流中の微小粒子の衝突・合体を考えたが、大気中の粒子の場合、重力衝突(終端速度の違いによる衝突)も考えなければならない。この場合、粒子の衝突率はいわゆる「重力カーネル」によって与えられる。終端速度のサイズ依存性は、粒子のサイズによって異なることにも注意が必要である。そこで今後は、重力衝突も含めた衝突・合体を理論・シミュレーションにより調査する。
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Causes of Carryover |
論文を掲載した英文雑誌が掲載料不要であったため差額が生じた。差額分は次年度の当初の計画に加え、追加の旅費・英文校正費等に使用する予定である。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] Cloud Turbulence2018
Author(s)
Toshiyuki Gotoh, Izumi Saito, Takeshi Watanabe, Tatsuya Yasuda
Organizer
Perspective on Turbulence Workshop (Texas A&M) (Texas, USA)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Cloud Turbulence2018
Author(s)
Toshiyuki Gotoh, Izumi Saito, Takeshi Watanabe, Tatsuya Yasuda
Organizer
Special seminar on Cloud Physics(Michigan Technological University) (Houghton, Michigan, USA)
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