2018 Fiscal Year Research-status Report
大西洋子午面循環(AMOC)の変動に伴う海面水温および大気への影響
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18K13615
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
山本 絢子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, ポストドクトラル研究員 (20811003)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大気海洋相互作用 / 大西洋子午面循環 / 大西洋数十年規模振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
大西洋子午面循環(AMOC)の変動の海面水温への間接的なシグナルとされている大西洋の海面水温の低周波変動である大西洋数十年規模振動(AMO)の指標に代わる、AMOCの変動により呼応し適した海面水温の変動パターンを結合モデル相互比較計画第5期(CMIP5)モデルのデータ及び観測データを用いて明らかにすることを目的としている。
平成30年度は結合モデル相互比較計画第6期(CMIP6)のモデルの一つでもあるMIROC6の産業革命前基準実験を用いて、AMOのシグナルが形成されるメカニズムを掘り下げた。先行研究ではAMOはAMOCに準ずる熱輸送によって形成されるとされてきたが、最近の研究で海洋からの強制は必要ではなく大気による確率的強制によって形成されると示され、AMOの起源について今なお活発に議論されている。本研究でAMOの形成起源の解析を行った結果、大気・海洋の両方がAMOの形成に重要な役割を果たしているが、今までは一定のものとされていた混合層深度の変動がAMOのシグナルに強く影響していることが分かった。この混合層深度の変動にはAMOCの一部であるメキシコ湾流による塩分の移流の変動が大きくかかわっていることが分かった。
この結果は平成30年12月にワシントンDCで行われたAmerican Geophysical Union秋季大会、平成31年2月に箱根で行われたNORPAN closing workshop、同2月に博多で行われたOFES International Workshop、および平成30年11月に韓国の公州大学校、同12月にアメリカのPennsylvania State Universityにて発表を行ったほか、国際雑誌に投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は当初の目的より一歩手前の、AMOの形成メカニズムをまず調べ、興味深い結果が得られた。得られた結果を3つの国際研究大会で発表したほか、海外の2つの大学でセミナーを行い、また、国際雑誌に投稿する準備を進めている。このため、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
MIROC6を用いて見られたAMOへの混合層深度の寄与を、観測およびCMIP5の産業革命前基準実験を用いて調べる。関係性が確認されたら、今度は歴史気候実験、そして将来気候予測実験を用いて、異なる放射強制による混合層深度の海水面変動への寄与を調べる。
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Causes of Carryover |
データ・ストレージケースが当初計画していたより安価で手に入ったため、次年度使用が生じた。次年度使用額はデータ・ストレージケースの追加購入に充てる。
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