2019 Fiscal Year Research-status Report
三次元雷可視化システムを用いた発電用大型風車からの上向き雷成因の解明と予知
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18K13618
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
ウ ティン 岐阜大学, 工学部, 助教 (50789774)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 上向き雷 / 冬季雷 / 雷三次元観測 / 風車の雷被害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018~2019年冬季北陸地方に14か所の観測サイトから構成された雷三次元可視化システムFALMAを設置して、鉄塔や風車からの上向き雷を中心に冬季雷の観測に成功した。本年度は主に鉄塔、風車等の高構造物からの正極性上向き雷について観測データの解析を行った。主な成果として(1)正極性上向き雷の開始過程である上向き負極性リーダの速度は普通の負極性リーダと大きな違いがないということが分かった。(2)上向き負極性リーダは特徴的な電界変化を放射していることを発見し、この特徴的な電界変化波形を遠距離での正極性上向き雷の監視に利用できることを示した。(3)正極性上向き雷は主に強い負極性落雷によって引き起こされることが明らかとなった。 また、負極性上向き雷の主な原因である正極性落雷についても解析を進めた。正極性多重雷の特性と発生メカニズムを解明でき、この結果を論文にまとめて投稿した。正極性上向き雷の原因となる強い負極性落雷についても解析を進めている。 一方で、FALMAによる上記の冬季雷観測の前に行った夏季雷観測では予備観測にもかかわらず、観測できた高品質なデータを利用して多くの成果を獲得できた。2018~2019の2年間に7篇の論文を発表しており、本研究の代表者も2019年12月サンフランシスコに行われたアメリカ地球物理秋季大会(AGU Fall Meeting 2019)に招待され、FALMAの研究成果を紹介し、大きな注目を集めた。FALMAは世界最高性能のLF帯雷三次元可視化システムとして認識されつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り上向き雷の観測に成功した。獲得したデータの解析により正極性上向き雷の特徴及び誘発機構を解明し、論文にまとめた。正極性上向き雷の原因である強い負極性落雷について解析を進めている。また、負極性上向き雷も数十例記録したので、今後誘発機構の解析を進めようと考えている。冬季の上向き雷について多くの研究成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は主に冬季雷観測で獲得したデータの解析及び成果の発表を進める。解明した上向き雷の開始機構の特性を利用して上向き雷の予測手法の開発を試みる。また、2019~2020年冬季も観測を行い、多くのデータを獲得したので、それらのデータの解析も進める。
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