2018 Fiscal Year Research-status Report
固体地球モデルによる氷期の南極氷床変動復元とその変動メカニズムの解明
Project/Area Number |
18K13621
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
石輪 健樹 国立極地研究所, 研究教育系, 研究員 (10811896)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 南極氷床変動 / 最終氷期最盛期 / GIAモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
将来の地球温暖化に伴う海面変動が危惧されており、その大きな要因として南極氷床をはじめとする大陸氷床の融解が挙げられる。南極氷床は将来の海面変動の主要因であるが、過去の南極氷床変動史は十分に復元されておらず、その変動メカニズムは解明されていない。特に、約2万年前の最終氷期最盛期からその後の融氷期は南極氷床変動の直接的な記録の地域・時間的な欠損のため、過去の2万年間の南極氷床変動史は不確実性が大きいのが現状である。本研究では、氷床変動史の復元に有用なGIAモデルを用いた手法の一つであるフィンガープリントの特色を活かし、最終氷期最盛期前後の南極氷床史に着目し研究を行う。GIAモデルによるフィンガープリントは、南極から離れた海水準データを用いて南極氷床変動史に制約を加えることが可能であり、南極における海水準・氷床変動データの地域・時間的な欠損を克服できる手法である。本課題では、復元した南極氷床変動史と日射量変動パターン、海水温、二酸化炭素濃度などの古気候記録と比較、検討し、氷期における南極氷床変動メカニズムの解明を目指す。GIAモデルによるフィンガープリントは全球的な氷床変動史の構築が不可欠であり、当該年度では全球的な氷床変動史を確立することを目指した。北西オーストラリアのボナパルト湾は旧氷床域から遠く、ローカルな海水準は海水量の変化を反映している。つまり、ボナパルト湾は全球的な氷床変動史の復元に適した地域である。当該年度では、ボナパルト湾の堆積物試料とGIAモデルを組み合わせ、全球的な氷床変動史の構築し、GIAモデルによるフィンガープリントによる実験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GIAモデルによるフィンガープリントに不可欠な全球的な氷床変動史を北西オーストラリア・ボナパルト湾の海洋堆積物試料とGIAモデルから構築し、その成果を国際誌に発表した。また、氷期における南極氷床変動史の構築も進んでおり、次年度に繋がる成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した全球的な氷床変動史も元にGIAモデルのフィンガープリントによる南極氷床変動史の復元を行う。また、研究成果を国内外の学会で発表し、他の研究者と議論を行い、南極氷床変動メカニズムの解明を目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度に参加予定であった学会に参加できなかったため、次年度の学会参加の旅費および諸経費として使用する。
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