2021 Fiscal Year Research-status Report
内部減衰と散乱減衰の3次元不均質構造推定-震度予測の高度化へむけて
Project/Area Number |
18K13622
|
Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
小木曽 仁 気象庁気象研究所, 地震津波研究部, 主任研究官 (40739140)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 地震波散乱 / 地震波減衰 / 不均質構造 / 震源特性 / サイト特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに開発した3次元不均質散乱・減衰構造推定手法の成果発表へ向けて、論文執筆作業を進めた。テストデータを用いて解析手法の適用可能性を調査したところ、散乱構造は仮定した不均質構造パターンがよく復元されたが、減衰構造は不均質性の空間パターンは議論できると考えられるが、絶対値にはややバイアスが乗ってしまう可能性が示唆された。これは減衰構造に深さ依存性がある場合、震源距離の短い観測波形の直達波部分と後続波部分が持つ減衰構造への感度の空間パターンの違いが明瞭になってしまい、その結果、単純なパラメータ化の元では当該観測波形をうまく合成波形で再現できず、その結果、その記録が後の減衰構造推定に活用できないことが原因と考えられた。提案手法は、観測波形を合成波形でモデル化できた場合に、合成波形の計算に用いた構造パラメータを3次元空間に投影していくという原理であるが、投影していく手法そのものは合成波形の構造パラメータを用いる必要がない。そのため、この問題は、観測記録における震源での励起振幅及び観測点のサイト特性が事前に推定できていれば解決できると考え、論文執筆作業と並行して震源パラメータ及びサイト特性の精密推定手法の開発を進めた。構造推定と同様、地震波エンベロープを用いて震源パラメータを推定するが、地震波エンベロープの形状には内部減衰や地震波散乱のほか、地震波速度の影響も考えられることから、地震波エンベロープの合成にあたって3次元地震波速度構造も取り込めるようにプログラムを改修した。あわせて、構造推定の範囲を拡大するため、日本全国のM3~4.5程度の地震波形記録を適宜ダウンロードし、その整理を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染状況に伴う執務環境の大きな変化により、本研究の進展が遅れている。特に成果発表に関して、国際学会への参加が困難となったことにより、他の研究者と議論して解析手法の改良を進めることができていない。また、地震波減衰構造の深さ依存性が本研究で提案した構造推定手法に大きな影響を及ぼす可能性があることがわかった。この問題への対応も順次進めているが、これらの状況を総合的に判断すると進捗は遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、論文執筆を進めるとともに、いくつか発覚した課題については本年度に考案した解決案となる解析を順次進めていく。
|
Causes of Carryover |
本年度は特に国際学会への参加が困難であり、旅費及び参加費を執行することがなかった。また、論文執筆の遅れに伴い、論文発表に要する費用を執行することがなかった。 予算の残額は、国内学会における本研究の関連成果の発表、及び論文執筆に必要な費用の支弁に使用する。
|
Research Products
(1 results)