2019 Fiscal Year Research-status Report
A study of minerals adsorbing rare earth elements in ion adsorption type ore
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18K13623
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
向井 広樹 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80817289)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レアアース / イオン吸着型鉱床 / 電子顕微鏡 / ICP-MS / LA-ICP-MS / Nano-SIMS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題において研究対象としているイオン吸着型鉱床では、レアアースは粘土鉱物に吸着されていると推定されている。しかし鉱床においてレアアースは140~2000 ppm程度と濃度が比較的低いため、それが実際にはどのような鉱物であり、各鉱物においてレアアースがどのような存在状態にあるのかよくわかっていない。そこで本研究ではまず実際の中国のイオン吸着型鉱床において、レアアースを含有している鉱物を特定し、さらにその化学的状態について明らかにすることを目的として解析を行った。走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察・分析を行うとともに、より高感度なレーザーアブレーションICP質量分析(LA-ICP-MS)法および高解像度高感度二次イオン質量分析(Nano-SIMS)によってレアアースについて分析を行った。その結果、鉱床においてカオリナイト質粒子のレアアースの濃度が他の鉱物粒子より高くなっており、さらにそのカオリナイト質粒子中のイライトにレアアースが濃集していることが明らかとなった。また電解質溶液を用いて脱離実験を行うことによって、このカオリナイト質粒子においてレアアースは、粘土鉱物表面吸着された外圏錯体となっているだけでなく、構造中に組み込まれた内圏錯体も形成していることが示唆された。以上の研究成果は、地球惑星連合大会2019年大会やGoldschmidt2019といった国内外の学会において研究発表を行っている。また論文についても間もなく投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、実際のイオン吸着鉱の試料の解析および室内実験においてレアアースの吸脱着実験を行うこととなっている。このうち実際のイオン吸着型鉱床についての解析はこれまでにおおよそ完了しており、現在はこの実イオン吸着鉱の結果をもとに室内実験を進めている。特にイライトがレアアースを豊富に含有していたことから、このイライトを中心にその他の粘土鉱物、カオリナイトやスメクタイトなどを試料として用いている。これらの鉱物試料について、塩化イットリウム(YCl3)の濃度を1~10-8 mol/lまで変化させて溶液を作成し吸着実験を行っている。各溶液における鉱物のY吸着量はICP質量分析(ICP-MS)法を用いて測定している。また溶液の濃度の他、吸着時間やpH, イオン強度についても変化させてその影響を調べている。さらにYを吸着させた鉱物試料については、放射光施設(SPring-8)のX線吸収微細構造(XAFS)によってそのYの吸着状態について調べている。以上のように吸着実験においても実験データが得られてきていることから、計3か年で行う本研究はおおむね順調に遂行されていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において実イオン吸着鉱について解析を行ってきており、現在は吸着実験を進めている。今後はこの吸着実験をさらに進めるとともに脱離実験を行う予定である。吸着実験では、YCl3以外にLaCl3を使用して実験を行っていくことを考えている。またYあるいはLaを吸着させた試料について、主に電子顕微鏡を用いて観察・分析を行い、これらの元素がどのように分布しているのか直接的に調べる。そして脱離実験を各試料について行う。Y, Laが硫酸アンモニウム等のイオン交換によってどの程度脱離するかということを調べ、レアアースを抽出するために最適な条件を探し出す。溶媒の種類を変えることやpHを下げることあるいは加温することなどの影響についても研究を行う。
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Causes of Carryover |
年度末に所属機関が変更となったため上手く2019年度の予定額を使い切ることができなかった。余った予算は新たな所属先で研究環境を整えるため消耗品等に、2020年度に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)