2018 Fiscal Year Research-status Report
Phenomenological Complexity of Earthquakes and Inherent Uncertainties in Fault Rupture
Project/Area Number |
18K13629
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
麻生 尚文 東京工業大学, 理学院, 助教 (70801223)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 地震 / 断層 / 不確定性 / 複雑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震現象の解明は、自然科学として重要であるだけでなく、社会からの期待も大きい。特に、地震現象の多様性や複雑性については、広く認識されている一方で、その物理的原因については未だ分かっていないことが多い。例えば、地震には微小地震から巨大地震まで存在するが、地震の大きさを決定づける要因はよく分かっていない一方で、社会にとっては巨大地震の理解は喫緊の課題である。また、断層における地震破壊プロセスは多様であり、最近ではスロー地震とよばれる、ゆっくりとした断層すべりの存在も明らかになっているが、どのような物理条件下で、通常の地震が発生するのか、スロー地震が発生するのかは分かっていない。通常の地震とスロー地震との境界的現象が発生していないこと、少なくとも、観測はされていないことの原因についても、わかっていない。本課題では、そのような地震現象の多様性や複雑性を、断層破壊の不確定性という観点から明らかにすることを目指す。 そのために、地震波解析により、地震現象の複雑性の定量化をめざした。具体的には、断層破壊の指向性の統計的特徴を明らかにするため、指向性解析の手法開発を行った。また、数値計算(シミュレーション)によって、断層破壊の不確定性が地震現象の複雑性に及ぼす影響を調べた。通常は決定論的に計算される地震破壊シミュレーションにおいて、確率論的な揺動項を加えることで、複雑なすべりやゆっくりとした破壊伝播を再現した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地震波解析とシミュレーションに関して、概ね予定していた進捗状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、指向性解析の手法を実データへ適用してケーススタディを増やすと共に、数値計算に関してはパラメータスタディを行う。また、統計物理学を用いた解析的アプローチも検討する。臨時観測による不確定性の定量化についても、可能性を検討する。 こうした複合的アプローチから、大きさや多様性など地震の複雑性を決定づけている断層破壊の不確定性を解明し、地震現象の総合的理解に貢献する。
|
Causes of Carryover |
サーバー代が節約できたため繰り越し。次年度に出版予定の論文出版経費に使用予定。
|
Research Products
(21 results)