2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13634
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
田阪 美樹 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 講師 (80772243)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鉱物混合層形成 / 歪み弱化 / かんらん石 / 輝石 / ねじり実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉱物混合層形成と歪み弱化における化学効果を明らかにするため、かんらん石と輝石の鉱物量比を変えた多結晶体(輝石10%, 30%, 40%)を作成した。再現性のある高歪み変形実験ができるように、試料中心にニッケルを埋め込み試料内の応力不均一を軽減し、多孔質アルミナをピストンと試料の間に入れることで摩擦係数を上げピストンが滑りにくいよう実験アセンブリを工夫した。 鉱物量比の異なる多結晶体を用いてねじり実験を行い、歪み速度、歪み量の違う実験を複数回行い、実験で得た力学データから変形メカニズムを推定した。実験の結果から、かんらん石70%+輝石30%、かんらん石60%+輝石40%の試料は、歪み増加に伴い応力指数(n)は減少し粒径依存型の粒界すべりクリープで変形し歪み弱化が起きることが分かった。一方かんらん石90%+輝石10%の試料は、歪み増加に伴いnはわずかにしか減少せず転位クリープで変形、歪み弱化は確認できなかった。 実験試料の組織解析は、走査型電子顕微鏡(FE-SEM)と電子線後方散乱回折法(EBSD)を用いて行った。画像解析ソフトImageJと付属のマクロ (Heilbronner & Barrett 2014) を使い、粒径、粒界長さ、結晶方位の相互関係を解析した。得られた結果から、歪み量増加に伴う変形組織と力学データの変化を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた変形実験は終わり、組織解析を進めている。研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の鉱物物性値と粒径モデルから、地球深部のどの温度・圧力条件で歪み集中が発現するのかを明らかにする。 変形に伴いどのように元素が移動し細粒鉱物混合層を形成、歪み弱化に至るのかを明らかにするために「変形の少ない古い大きな粒子」と「変形により新しくできた小さな粒子」の微量元素の化学組成の違いを分析する。島根大学に既設の電子線マイクロアナライザー(FE-SEM, EPMA)を用いて、変形に起因した物質拡散による化学組成の違いを明らかにする。 上記の結果がまとまりしだい、論文としてまとめ、投稿する。
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Causes of Carryover |
アメリカ地球物理への旅費(航空券+滞在費)で差額が出たため。
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Research Products
(10 results)