2018 Fiscal Year Research-status Report
Osteohistological study on vertebral development in fossil aquatic reptiles
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18K13646
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
中島 保寿 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (50792925)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 進化発生学 / 脊椎動物 / 古生物学 / 爬虫類 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、水生爬虫類化石の椎骨標本を入手し、CTデータおよび薄片検鏡をベースに骨内部構造データの解析を行った。対象とした動物は、中生代の水生爬虫類であるコリストデラ類と、フーペイスクス類である。コリストデラ類(ジュラ紀中期・Ctenyogenys、白亜紀前期・Khurendukhosaurus、白亜紀後期・Champsosaurus、古第三紀・Simoedosaurus)化石に関しては、椎骨内部に脊索またはそれに付随する脊索鞘が鉱物化された構造が確認された。脊索及び脊索鞘は、通常現生の羊膜類では発生とともに消失してしまうか、もしく紐状の軟骨質組織として保持され続けるかの2パターンの後期発生様式しか知られておらず、コリストデラ類の脊柱が従来羊膜類で知られているものとは異なる発生パターンを持っていたことが示唆された。またフーペイスクス類(Hupehsuchus、Parahupehsuchus、Nanchangosaurus、全て三畳紀前期)に関しては、軸性骨格の薄片検鏡の結果、椎骨棘突起の分節構造と見られていたものが、実際は背側の皮骨が発達し棘突起の一部であるかのように変化したものであることがわかった。さらにこの構造は、通常膜内骨化によって発達する皮骨を起源とするにも係わらず、椎体方向への伸長成長の際に軟骨内骨化が起こったと解釈される構造を持っていた。したがってフーペイスクス類では、元来外骨格要素として形成された皮骨が、内骨格要素である椎骨の一部として機能するようになったといえる。以上の結果から、中生代の水生爬虫類の脊柱の骨化様式は、現生四足動物全体で認められているよりも遥かに多様であったことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
CT観察および薄片検鏡の結果、すべてのサンプルから良好な骨組織データが得られ、椎骨の発生パターンについて推定を加えることができた。さらに、当初解析を予定していなかった三畳紀最末期の水生爬虫類Pachystropheusの椎骨化石の入手に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の調査の過程で入手した三畳紀最末期の水生爬虫類Pachystropheusの椎骨化石について、CT撮影および薄片検鏡による組織学的な解析を行う。また、その他の現生爬虫類サンプル、化石爬虫類サンプルについても予定通りの解析を行い、発生・成長過程復元を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
本「若手研究」交付開始後、「独立基盤形成支援」に採択されたことに伴い、初年度に行う化石処理設備の構成と金額についてより効果的なものへと大幅に見直しを行ったため。次年度使用額は、微細構造解析を目的とした卓上型の薄片研磨器の購入や、組織観察のための顕微鏡周辺機器の購入、成果発表のための渡航費などに充てる予定である。
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