2021 Fiscal Year Research-status Report
小型哺乳類の化石記録から,進化における生物学的要因の重要性を解明する
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18K13650
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
木村 由莉 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (50759446)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脊椎動物化石 / 同位体生態学 / 小型哺乳類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は現生動物の飼育実験と化石種の骨アパタイトの分析に着手した. 1)飼育実験について 昨年度までのデータ解析により,離乳後すぐに形成された歯エナメルでは炭素同位体比が正方向にシフトする様子が認められたが,摂取した固形飼料と実際に体内に消化された物に差異がある可能性が否定できないため,消化物の炭素同位体比をモニタリングするために呼気の分析を行った.小動物1種について生後6日から40日まで継続的に呼気をサンプリングし,分析を行った.これにより離乳前から離乳後までに数‰ほどのシフトが認められた.これを歯エナメルの同位体データと組み合わせることで,小動物化石の食性を推定する見通しが立った. 2)化石種の分析について 当初は南アジアの化石に応用する予定であったが海外研究機関に赴くことが困難であったため,微量分析を伴わない化石種を分析するに至った.そこで,沖縄県の離島にある洞窟から発見された食虫性コウモリ類の骨アパタイトの炭素同位体比を分析した.1)で得られた結果を応用することで,同コウモリ類がサトウキビを摂取している可能性が極めて高く,サトウキビ畑の開拓以降に移入した地域絶滅種であることがわかった.この成果については国内学会で発表し国際誌に受理された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
飼育実験とそれに関連した分析については計画通りに実施することができた.ただし海外研究機関への渡航は叶わず,化石サンプルの分析を実施することができなかった.そのため本年度は分析対象の化石を変更して研究を推進し,限定的ながらも化石データへ応用することが可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度から継続する新型コロナウイルス感染対策の影響により,海外研究機関での分析を予定通りに実施することができなかった。そのため,研究費の一部を次年度に繰越し分析を進める.
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Causes of Carryover |
コロナ感染防止対策の状況下で,海外研究機関での分析が困難となったため.
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