2018 Fiscal Year Research-status Report
Fine Injection Technique by high density electron flow: Fabrication of Super-long fine material
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18K13653
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 康裕 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70803740)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 原子拡散 / エレクトロマイグレーション / インジェクション / ファインマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、高密度電子流による原子拡散を活用した金属ファインインジェクション技術の創出による新材料創製基盤の開拓を目指し、本研究課題の核となる射出機構の研究開発を遂行し、以下の研究実績を得た。 (I-1)平成29年度研究活動スタート支援にて実施した低融点材料Snを用いた射出機構の基礎検討を発展させ、新たにAlを対象とした射出可能性を検討した。Alを挿入する筒(キャピラリ)にSUS304もしくはガラスを用い、射出口としてSiメッシュウェハを先端に装着した実験系を新規に構築した。SUS304系では射出の兆候は見られたが、Al原子がワイヤとして成長するほど射出することはなく、射出口付近に留まっていた。これはAlとSUS304が電流印加に伴うジュール発熱により金属間化合物(IMC)を形成し、電子流による射出を阻害したためと考えられる。ゆえにAlとIMCを作らないキャピラリの選定が必要となり、ガラスを用いた実験系を提案し検証した。その結果、IMCを作らずワイヤとして成長できるほど多くのAl原子を射出できる射出機構の開発に初めて成功した。 (I-2)原子蓄積と対で発生する原子損失が生じても連続した通電ならびに射出を可能とする、導電性TiN膜(80 nm程度の膜厚)のガラスキャピラリへの被覆を原子層堆積法により実施し、成膜の実現可能性と射出機構への有効性を確かめた。 (I-3)原子蓄積に起因した静水圧応力生成予測手法について、新たな理論基盤を構築した。インジェクション機構への適用が期待できる、保護膜付金属配線の任意形状における静水圧応力分布の計算手法を、静水圧応力と電位のアナロジーに着想を得て提案することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載の通り、申請時に計画した研究を遂行し、平成29年度研究活動スタート支援によるSnを用いた射出機構の基礎検討を発展させ、SnだけでなくAlについても高密度電子流による金属材料の射出が可能なことを初めて示した。また実験検証だけでなく理論展開を行うことで、金属ファインインジェクションの学術基盤の構築に着手しており、高密度電子流による単結晶金属超長ファインワイヤ創製へ向けて順調に実績を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、超長ファインワイヤ創製を目指した射出機構の最適化と創製したファインワイヤの特性評価に関する研究を推進する。具体的には、平成30年度に提案した理論を発展させ、射出に最適な実験条件の選定を可能にするだけでなく、射出に最適な実験系の構築も試みる。また創製するファインファイヤについて、これまで世界で達成されていないスケールアップを試みる。その後、創製したファインワイヤについての特性評価を試みる。
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Causes of Carryover |
平成30年度末に得た研究成果に基づき、それを学術論文として公表するのに必要な英文校正費用ならびに論文投稿費を確保するため、次年度使用額が生じた。 ついては、令和元年においてはその成果をまとめた論文執筆および投稿に当該助成金を用いる予定である。
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Research Products
(5 results)