2020 Fiscal Year Research-status Report
摩擦の物理に基づく塑性変形・破壊現象の統一的な予測と制御
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18K13658
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 明男 (シャードンバオ) 大阪大学, 基礎工学研究科, 特任講師(常勤) (80773340)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 摩擦 / 金属ガラス / すべり弱化 |
Outline of Annual Research Achievements |
破壊現象,摩擦現象においてすべり弱化は重要な現象であり,そのメカニズムの理解は破壊・摩擦現象の理解及び制御において重要である.昨年度までにすべり弱化を解析するための粗視化モデルの構築は完了し,これを用いて金属ガラスのせん断帯の形成,及び破壊現象の解析を行い,その際構造の励起と緩和機構が存在する場合(低温度.高ひずみ速度域)にてすべり弱化が発生することを明らかにしている.本年度は構造励起と緩和機構とすべり弱化の関連性を明らかにし,すべり弱化のメカニズムについて考察した.モデルによるシミュレーション結果から金属ガラスのすべり弱化のメカニズムは以下のように考えられる.金属ガラスに局所的に塑性変形が発生すると塑性変形した箇所の周りには局所応力場が発生し,それにより周囲の金属ガラスの塑性変形が誘起されるが,この時構造励起が存在する際には一度変形した箇所の弱化により,当該箇所が再度塑性変形を起こす.このような場合にはすべり弱化が発生し,変形は局在化し,せん断帯が発生して金属ガラスの急速破壊がおきる.一方で構造緩和が存在する場合については塑性変形の速度に比べて構造緩和の速度が十分早ければ,一度変形した箇所の弱化は構造緩和により解消され,変形は局在化せずにすべり弱化が発生しない.低温では熱活性現象である構造緩和が起きにくく,高ひずみ速度では構造緩和が塑性変形速度に追いつけないため,シミュレーション結果で得られたようにすべり弱化が発生したと考えられる.要約すれば構造の励起の存在,さらには構造緩和と塑性変形の速度の競合がすべり弱化の有無を決定しているという結論となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的は達成され,現在まとめの段階に入っていることから概ね順調といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
構築したシミュレーション手法により得られた結果を論文,学会発表を通して公表していく,
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Causes of Carryover |
参加する予定の国際会議がCOVIT19により中止となった.
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