2018 Fiscal Year Research-status Report
Smart turning technology realized by automatic identification of dynamic compliance and automatic suppression of regenerative chatter
Project/Area Number |
18K13670
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
早坂 健宏 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70779917)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 動コンプライアンス / 旋削 / センサレス / 自動化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、動コンプライアンスのリアルタイム自動同定および再生びびり振動の革新的な自動抑制を可能とするスマートターニング技術開発を目的としている。この目的を達成するために、まずは動コンプライアンスの自動同定技術を開発する必要がある。旋削(ターニングとも呼ぶ)加工では、切削開始時において、切取り厚さ(切削する深さ)が徐々に増加する切削力入力が存在する。この入力に対して、低剛性構造物(長く突き出した工具や被削材など)が応答することで振動が発生(出力)する。この出力と入力を測定し除することで、低剛性構造物の動コンプライアンス(力の入力に対する変位の出力)を求めることができる。この方法では、切削開始時に存在する自然な入力を利用するため、一般的に動コンプライアンス同定に用いられるインパルス応答試験などが不要となり、コストおよび時間削減となる。また、工作機械の内部情報を用いることで、センサレスで自動な同定が可能となる。 平成30年度では、提案する方法の基礎的なデータの取得を目的とし、加速度計を用いて低剛性な工具の振動(出力)を、動力計を用いて切削力(入力)を測定し、旋削(ただし、本年度は基礎評価のため二次元切削)開始時のプロセスを利用することで動コンプライアンスの同定を行った。同定したコンプライアンスは、インパルス応答試験により測定した動コンプライアンスとも概ね一致し、提案手法の有用性を確認することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度で基礎的な評価を終えたため、概ね順調に進展していると評価できる。 一方で、工作機械の内部情報を使った同定に関してはまだ未検討なため、平成31年度において取り組む必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度において基礎的な評価を終えたため、平成31年度ではより実用的な方向性へと展開する。具体的には、1)工作機械の内部情報を用いた動コンプライアンス同定、2)三次元旋削プロセスへの展開、である。1)については、実際の工作機械を用いて評価を行う。2)についても、平成30年度に行った二次元切削から三次元切削へ展開するため円柱材を用いた試験を行い、その評価を行う。その時には、切削力の向きなども重要になるため、その簡易同定手法の検討と同時に進める。また、これらと平行して、本研究のもう一つの目的である、同定した動コンプライアンスを用いた安定限界の自動算出についても取り組む。従来では安定となる回転速度のみが自動同定出来ていたが、本研究ではその回転速度と対応する切削幅(安定限界)についても同定する。この切削幅の同定については、本手法によって初めて実現できるため、その有用性は極めて大きい。
|
Causes of Carryover |
本年度では基礎的な評価を主な目的としていたため、備品としては本年度購入した動力計のみがあれば問題がなかった。また、データ分析に時間を割いていたため、材料も基本的には既に所有していたもので対応ができた。本年度の成果については現在まとめている状況であり、論文発表などもまだ行えていない状況である。 一方で、次年度ではより実用的な評価を行うために、様々なセンサ(主に振動測定用)が必要となるため、費用も増加する見込みとなる。また、様々な加工条件や材種に対して評価を行うため、材料費も増加する見込みである。加えて、成果についてもまとめている段階であるため、論文投稿費や学会発表/出張費も増える予定である。 これらを踏まえて、次年度の出費の方が多いと考え、次年度使用額を生んだ。
|