2018 Fiscal Year Research-status Report
切削過程のin-situ観察による工具-被削材界面の摩擦現象の理解と応用
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18K13671
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉原 達哉 大阪大学, 工学研究科, 講師 (90637539)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 切削加工 / トライボロジー / 摩擦 / PIV |
Outline of Annual Research Achievements |
切削工具のすくい面と被削材切りくず間の摩擦は,切りくず生成,工具寿命,仕上げ面性状に直接的な影響を及ぼす極めて重要な要素である一方で,すくい面における摩擦力の値やその分布は,切削加工現象における不確定な要素として残された大きな課題となっている.そこで,本研究では,粒子画像流速計測法(PIV)を援用した切削加工現象のin-situ観察を行うことによって,工具-切りくず界面における摩擦現象の解明を行うことを目的としている. 本年度は,二次元切削加工の高速度カメラ撮影を可能とする実験装置を構築し,得られたデータをPIV解析することによって,切りくず流れ,ひずみ,ひずみ速度分布を可視化する手法を確立した.そして,工具-切りくず界面のような苛酷な摩擦環境・材料変形挙動を模擬することを目的に,くさび状圧子による押し込み試験を実施した.その結果,摩擦応力による材料の変形挙動は,流体力学で議論される境界層に類似性があることに着目し,(1)材料がBingham塑性体としてふるまうと仮定した場合,理論解と実験値がよく一致すること,(2)インデンター-材料間の摩擦状態の違いによって,材料の変形挙動が大きく変化すること,(3)摩擦状態の違いに起因する材料の変形挙動は,Bingham塑性体モデル内の粘性項の値によって表現できること,などを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,本実験の遂行において不可欠となる,高速度カメラによる撮影システム,および,PIV法による解析手法を確立することができた.さらに,摩擦による材料変形挙動と境界層との類似性に着目する,という大きな指針を獲得することができ,今後の飛躍的な発展・展開が期待できる状況にある.以上の理由から,本研究課題はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,以下の点に着目した研究を遂行する予定である. (1)界面の摩擦がインデンター-材料間の滑り量に及ぼす影響の評価,(2)滑り量を考慮した,材料変形特性の評価,(3)材料変形挙動・特性からの摩擦特性を示すパラメータの抽出,(4)工具-切りくず界面における摩擦特性評価への展開,(5)インデンター試験装置を用いた塑性加工における潤滑性評価手法の確立
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Research Products
(4 results)