2018 Fiscal Year Research-status Report
繊維状構造体の肌触り感向上のための手指における能動的および受動的摩擦特性の解明
Project/Area Number |
18K13675
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴田 圭 東北大学, 工学研究科, 助教 (60612398)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肌触り感 / 繊維状構造体 / 能動的摩擦特性 / 受動的摩擦特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
繊維による3次元的ネットワーク構造を有する繊維状構造体は,空気を多く含み柔らかさに優れるため,人体の刺激に弱い敏感な部分に使用され,特に肌触り感が重要となる.これらの官能試験時において,手指との摩擦と関連する動作が多いことから,官能評価と手指の摩擦特性との関係が考えられているが,相関が無いことも多くある.本研究では,これらの問題を解決し,繊維状構造体の肌触り感の向上を目指すため,人間の無意識のフィードバック制御に着目した官能評価,および摩擦特性を明らかにする.具体的には,1.指と繊維状構造体の機械的性質・接触特性の解明,2.指の能動的および受動的動作による官能評価・摩擦特性の解明,3.繊維状構造体の肌触り感向上のための設計指針の提案,について行う. 当該年度では,対象となる繊維状構造体であるティシューペーパーの機械的性質と,指の表面特性を明らかにした.機械的性質として,接触特性や摩擦特性,官能評価との関わりが大きいと考えられる,密度,水分量,引張強度,引張弾性率,圧縮弾性率,表面性状パラメータの測定を行った.対象のティシューペーパーは,幅広く市販されているものである.また,測定した被験者の指の表面特性は,水分量,油分量,硬さである.また,これらのティシューペーパーと被験者の指の組み合わせにより,能動的動作における肌触り感の官能評価試験と摩擦試験を同時に行った.この結果,一方向にすべらせる能動的動作においては,官能評価は摩擦特性と相関があり,自由に触れる能動的動作においては,官能評価値は摩擦特性と機械的性質の組み合わせによるパラメータと相関があることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の課題は,繊維状構造体について機械的性質および指との接触特性を明らかにすること,また,能動的動作による官能評価・摩擦特性を明らかにすることであったが,これらの解明は順調に進んでいる.一方,摩擦特性の解明を進めるにつれ,さらに詳細な指との接触特性の解明が必要であることが判明したが,これは次年度への新たな課題と判断し,当該年度までは上記の区分であると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,引き続き,能動的動作による官能評価・摩擦特性の解明を行う.また,研究計画の通り,受動的動作による官能評価・摩擦特性の解明も行う.さらには,前述のように,詳細な指との接触特性の解明が必要であるため,これらを同時に行う.これには既存の設備を改良することにより対応する予定である.
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Causes of Carryover |
予定していた人件費・謝金について,被験者として有志をつのったためその謝金がなくなり,当該助成金が生じている.次年度分として請求した助成金と合わせて,次年度では,受動的動作における官能評価・摩擦特性の解明で用いる装置を購入する.
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