2018 Fiscal Year Research-status Report
蛍光観察による新規的レオロジー測定技術の開発と潤滑膜その場観察への応用
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18K13677
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大津 健史 大分大学, 理工学部, 准教授 (10634488)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トライボロジー / 弾性流体潤滑 / レオロジー / 蛍光観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,機械システムの基となる機械要素技術の発展を目的に,「潤滑膜内の油のレオロジー特性」を測定できる技術の構築と,それを応用した油膜内のレオロジー測定について研究を進める.研究の進展により,従来理解できていなかった膜内の油の状態を詳細に検討することができ,その結果は安定的な油膜形成技術に繋がり,機械,そのシステムの安全性,機能性向上に結び付くと考える.本研究では,蛍光現象とレオロジー特性の関係に着目し,接触面の直接観察を通して,転がり,すべり運動を行う油膜内におけるレオロジー測定を行う. 2018年度は,測定システムの構築を行い,油膜からの蛍光スペクトルを測定する顕微鏡接続型分光器,およびCCDカメラを新規に購入し,実験装置へ導入した.また,測定システムを用いて基礎的な実験を行い,特に,油膜内のレオロジー変化に及ぼす荷重の影響について検討を行った.その結果として,接触部では入口側から油膜中央部にかけて明確な蛍光が観察され,その領域は荷重によって異なることが分かった.さらに,接触部における蛍光スペクトルは大気圧,常温下での油のそれとは異なる特性を示し,荷重が高いほどその変化が大きくなることが示された.結果を定量的に検討するため蛍光強度比を導入し,それを基に粘度を求めると,入口側から接触域内にかけて粘度が上昇し,域内の粘度は荷重とともに上昇することが明らかとなった.また,高荷重条件では,油の状態が粘弾性・弾塑性体になることも分かり,これらの結果は従来の研究結果に一致することも示された.他にも転がり-すべり条件での実験・解析にも取り組んだ.2018年度の結果から,本直接観察型測定システムを用いることによって,潤滑膜の粘度等のレオロジー特性を測定できることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は,当初の計画であった測定システムの構築を行い,基礎的実験を通して,油膜内のレオロジー特性を測定できることが分かった.また,油膜内での粘度上昇等の新規的な結果も得られた.よって,おおむね順調と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は開発した直接観察型レオロジー測定システムを用いて,各種運転条件における実験・解析を進める予定である.特に,転がり-すべり条件,速度・圧力の影響等について検討を行う.また,接触域内での2次元的な粘度分布の解析も進め,各種条件での粘度分布の変化を調べる.さらに,運転条件とレオロジー特性の関係性を整理し,従来理解との比較・検討も行う.
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Causes of Carryover |
物品費,旅費が当初の計画よりも安価となったため,3万円程度の次年度使用額が生じた.これについては,2019年度の物品費として使用する予定である.
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Research Products
(2 results)