2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13684
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
初鳥 匡成 京都大学, 工学研究科, 助教 (50812765)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分子気体力学 / ボルツマン方程式 / 希薄気体 / すべり流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,軽度に微小な系あるいは低圧な系を流体力学的に記述する一般すべり流理論で記述できる現象の範疇の拡大と,同理論に付随するデータベースの充実化により,理論の一層の普及を試みるものである. 初年度はまず,Shakhovの分子間衝突モデルに対して,一般すべり流理論内の数値データを求めるための問題の定式化,プログラムコード開発,数値データの取得を完了した.この成果は日本流体力学会年会および国際希薄気体力学シンポジウムにて発表した.これにより,これまでの研究で得られている二,三の模型の場合のデータとあわせて,分子気体力学の分野で用いられる代表的なモデルに対する一般すべり流理論における数値データを完備できた.データは利用しやすい形にまとめ,京都大学学術情報リポジトリ(http://hdl.handle.net/2433/199811)で公開している. また,従来の一般すべり流理論は主に気体の粘性や熱伝導性が支配的な拡散現象に対して確立されているが,波動の現象に関するすべり流理論を構築すべく,振動する剛体のまわりを占める希薄気体を考え,問題の設定を行った.波を誘起するような物体面の自身に垂直な方向の動き(物体が気体に対してせり出したり退いたりする)を考える部分が従来とは異なり,この点の取り扱いをどうするかが解析に先立って問題となったが,これについて理解することができた.これにより,次年度に波動の現象に関するすべり流理論の構築にとりかかる準備が整ったといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Shakhovの分子間衝突モデルに対する一般すべり流理論における数値データを完備できたため.また,次年度に向けて,波動の現象に関するすべり流理論の構築の準備も整ったため.
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Strategy for Future Research Activity |
波動の大域的な振舞いを記述する流体力学的方程式,粘性境界層内の方程式系,これらに対する適切な境界条件をボルツマン方程式の系統的漸近解析により導出することに集中する.
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Causes of Carryover |
性能・費用を再検討した結果,当初の予定とは別の計算機を導入したこと,旅費が見込みよりも安価だったことによる.次年度使用額は計算機資源の増強にあてる計画である.
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