2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13685
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
沖野 真也 京都大学, 工学研究科, 助教 (30711808)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 密度成層流体 / 高シュミット数 / 成層乱流 / 直接数値シミュレーション / 大規模直接数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、熱と塩分というシュミット数の大きく異なる二種類のスカラーによって形成される密度成層流体を対象とし、初期に与えられた乱流がどのようにして減衰するかを調べるものである。 今年度はその予備検討として、単一のスカラーによって形成される密度成層乱流のシュミット数依存性を直接数値計算によって調べた。得られた結果は以下の通りである。 一般に、時刻が経過し、乱れが減衰するのに伴い、浮力の影響は次第に小スケールへと及ぶ。浮力の効果が大スケールに限定されている減衰初期では、高シュミット数のスカラーは、ほぼ等方的に分布する。また、そのパワースペクトルは、速度場の最小スケールに対応するコルモゴロフ波数よりも高波数領域において、波数の-1乗に比例する。これはパッシブスカラーに対するBatchelorの理論に一致する結果であり、浮力の影響がコルモゴロフ・スケール程度の小スケールにまで及ばないとき、浮力を生むアクティブスカラーは浮力を生まないパッシブスカラーと同様に振る舞うことを意味する。一方、浮力の効果がコルモゴロフ・スケールにまで及ぶと、小スケールの流れは大きな鉛直せん断をもつ水平流によって支配される。このとき、小スケールのスカラー場には、鉛直方向にのみ微細な構造が形成される。そのような構造の形成機構を、コルモゴロフ・スケールにおいて鉛直せん断水平流が支配的であることを仮定し、スカラーの拡散移流方程式の理論解を求めることによって説明することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シュミット数の違いが流れに及ぼす影響を直接数値計算によって系統的に調べることで、通常、実験や観測で捉えることが困難である、高シュミット数スカラーの微細構造に関する深い知見が得られた。ここで得られたデータは、次年度に実施する熱塩成層乱流の計算結果との比較に用いることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
熱と塩分によって形成される密度成層流体中の乱流(熱塩成層乱流)の直接数値計算を実施する。特に、密度比(熱と塩分による密度変化への寄与の比を表すパラメータ)に対する依存性に着目した解析を実施する。
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Causes of Carryover |
本研究を含む密度成層流体の数値シミュレーションがHPCI(High Performance Computing Infrastructure)の公募課題として選定されたため、計算機利用料が不要となったため。 差額は大容量のデータを保存するための、ハードディスクの購入に充てる予定である。
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