2018 Fiscal Year Research-status Report
phase transition mechanism on self-induced collective motion in swarm of dispersed bodies
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18K13686
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡村 友昭 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40777736)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 混相流 / 蛍光計測 / 不安定 |
Outline of Annual Research Achievements |
流体中に分散した無数の粒子や気泡など密度差をもつ物体が重力に従って運動するとき,分散体が自己選択的に粗密分布構造を形成し,集団的な運動をすることにより大規模対流が形成される.体積率が1%程度と小さく,粒子レイノルズ数も小さいため,粒子間の衝突が生じない系であるにも関わらず,分散体の粗密分布構造が出現する.さらに,流動場に出現した粗密分布構造は集団として密度流を誘起し,粗密分布を均一化する混合作用として働くが,粗密分布の時空間増は長時間に渡り観察される.本研究課題では分散体の集団的運動が発現するトリガを解明し,流れの制御に関する力学を明らかにする.本年度は実験と数値計算を用い,集団的に振る舞う分散体に働く力学と,その遷移メカニズムを理解した. 【実験によるアプローチ】異なる密度,異なる直径の粒子を用い,任意の体積率に設定した懸濁液の分離挙動を実験的に観察し,流動状態を体系的に調査した.申請者が有する分子タグ速度計測法に改良を加え,分散体の速度と連続相の速度を同時に取得するシステムを作成した.その結果,粒子間平均距離と流動のスケールとの比,および慣性力と重力の比の二つのパラメータが集団性の発現を左右するパラメータであることが分かった. 【数値計算によるアプローチ】傾斜壁面近傍に形成される清澄層と対流発現メカニズムを解明するため,オイラー・ラグランジュモデルと離散要素モデルをカップリングした数値計算コードを開発した.体積率とエネルギを高い精度で保存することを確認し,粒子の集積に伴う結晶化や欠陥転移現象も再現可能であることを確認した.このシミュレータを用い,次年度以降に非定常流動現象の発現機構解明を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年次計画に示した通り,計測手法と数値計算コードの開発が完了し,見込み通りの成果を取得したと判断する.実験から得られた研究成果の一部は物理一般誌に掲載され,本課題の学術的価値をアピールすることに成功している.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに得た知見と構築した計測システム,数値シミュレータを用い,本年度は以下に示す二つの課題の解決に取り組む. 【容器規模の大規模対流の発現機構の究明】静止流体中において分散体が駆動する容器規模の対流構造の発現メカニズム,および維持機構を解明する.清澄層と懸濁部とに分離した密度成層が濃度対流を形成する理論は,いずれも線形理論で説明可能である.今後の方策として,異なる密度,異なる直径の粒子を用い,任意の体積率に設定した懸濁液の分離挙動を実験的に観察し,流動状態を実験的に調査する.ストークス終端速度と対流速度の比,グラスホフ数,粒子間平均距離と清澄層厚さの比などをパラメータとして,対流の発現メカニズムを調査する. 【濃度界面を横切る物質輸送機構の究明】分散体の数密度に分布が作り出す見かけ上の界面である“濃度界面”近傍における物質輸送を評価する.対象とする系として,膨大な数の分散体が存在する流動場を扱う.マルチスケール物理の階層構造を解像するため,オイラー・ラグランジュ型の数値計算を用い,トレーサ粒子の運動を高い空間解像度で追跡する.トレーサ粒子と連続相と異なる密度の粒子との運動を区別し捉えることで,混合の様子と効率を評価数する.また,粒子の清澄分離に伴うエネルギ入力から,混合効率の良い容器幾何を調査する.
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