2018 Fiscal Year Research-status Report
ナノ界面に誘起される流れを用いた微粒子の秩序構造形成と選択的粒子輸送法の開発
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18K13687
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻 徹郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00708670)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分子流体力学 / 熱泳動 / 光ピンセット / マイクロ・ナノ流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
課題の一つであるレーザー照射によるパターン形成については,2方向同時観察による3次元的粒子運動の観察(国際会議にて2019年度に発表予定)や,固液界面におけるマイクロ粒子クラスタの定量的評価(F. Nito, T. Shiozaki, R. Nagura, T. Tsuji, K. Doi, C. Hosokawa, and S. Kawano, J. Phys. Chem. C, 122, 17963-17975 (2018))とナノ粒子クラスタの観察(T. Tsuji, et al., in preparation)を進めており,一定の成果が得られている.特に,2方向同時観察実験によって,光圧,熱泳動力,熱対流による流動抵抗の3つの力が拮抗するような実験系の構築と,支配的となる力を決定する重要なパラメータの同定について定性的な傾向を見出すことが出来た. 別の課題として取り上げていた熱泳動を利用する粒子分離デバイスのプロトタイプとしては,マイクロ流路狭小部におけるマイクロ・ナノ粒子流のレーザー誘起熱泳動によるオン/オフ制御機構の提案(T. Tsuji, Y. Sasai, and S. Kawano, Phys. Rev. Appl. 10, 044005 1-18 (2018))やマイクロ分岐流路の一方に熱泳動駆動用の電極ヒーターを作製し分散相の流れと連続相の流れの分離を行う実験(T. Tsuji, et al., in preparation)を進めている.負の熱泳動を効果的に用いることが可能な実験条件はまだ明らかにできていないが,本研究計画で提案する分離機構が粒子サイズに関わらず適用できることが示唆された. 上記に加え,粒子界面における流れの様相を調べるための実験装置一式(顕微鏡,レーザー,光学素子など)の導入を進めている.観察系はまだ構築段階であるが,用いる流体デバイスは完成しており,次年度の研究に向けて準備が整いつつある.流体デバイスの作製においては,これまでより流路パターンが微細になったことに伴うPDMSの剥離の困難に遭遇したが,自己組織化単分子膜をSiモールド上に成膜する手法により解決することが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で提示していた3課題のうち2つについては順調に結果が得られているが,1つについては観察系の構築段階である.全体としてはおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,2つのレーザーを用いて,粒子補足および補足粒子近傍の場の可視化を進める.高倍率の顕微鏡観察を安定して行うため,および2つのレーザーを顕微鏡に導入するため,大型の除振台を購入する予定である.
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