2018 Fiscal Year Research-status Report
高粘度の液と粉体の相互作用を考慮したDEMシミュレーション
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18K13690
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鷲野 公彰 大阪大学, 工学研究科, 講師 (10726384)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 粉体流 / 高粘度液 / 数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高粘度の液で濡れた粉体の数値計算モデルの開発,および,それを用いた粉体挙動の解明を目的とするものである.高粘度の液で濡れた粉体の挙動を正確に予測するためには,精度の高い潤滑力モデルが必要不可欠である.本研究ではこれまでに,相対運動している2粒子間液架橋内部の圧力分布を理論的に導き出し,それにより生じる潤滑力をモデル化することに成功した.さらに,得られたモデルと直接数値計算(DNS)の結果とを比較することによりその妥当性の確認を行った.その結果,両者は非常に良く一致することを確認した. 次に,高粘度の液で濡れた粉体流れを効率よく計算するために,高速積分スキームの開発に取り組んだ.この方法では,2体問題の半理論的な解より粒子に働く力を予測し,その力積の和を粒子に陽的に与えることで,数値計算で生じる不安定性を低減するものである.その結果,従来手法では安定に計算を行うことのできない大きな時間刻みを用いて,精度の良い計算を行うことに成功した.これにより,計算コストの低減が可能となった. 加えて,計算のさらなる効率化のために,粒子剛性低減手法の適用を試みた.これは,本来の粒子剛性より小さな値を計算に用いることで,安定な時間刻みを大きくする手法である.このとき,潤滑力を適切にスケーリングする必要がある.本研究では,無次元化された粒子の運動方程式を考えることで,潤滑力のスケーリング則を導出し,その有効性について議論した.この粒子剛性低減手法は,潤滑力のみならず,粒子に働く様々な付着力に対しても有効な手法であり,幅広い分野のアプリケーションに対して大きなインパクトを与えるものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で最も重要となるのは粒子に働く潤滑力モデルを開発することである.これまでに,計画通り潤滑力モデルの導出に成功しており,また,その妥当性についても評価することができた.このモデル検証については当初の計画よりも早く成果を得ることができた.また,計算の効率化の点では高速積分スキームを含むいくつかの手法を検討しており,一定の結果を得ることができた.これらのことより,本研究は順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,提案された潤滑力モデルを用いて,実際に粒子流のシミュレーションを行う予定である.また,その結果を実験または文献の結果と比較することで,提案モデルの妥当性についてより詳細な検討を行う.また,粒子表面粗さのパラメータ決定方法についての検討し,より現実に近い条件でのシミュレーションを行う. 数値計算の効率化については,開発された粒子剛性低減手法の適用範囲についてより詳細に調べ,よりロバストな手法へと改良する予定である.これが可能となれば,現在は実質的にシミュレーションが不可能であるような系の計算をすることが可能になると考えられる.
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Causes of Carryover |
共同研究先との打ち合わせのための旅費を計上していたが,電話会議で置き換えたため不要となった.持ち越した予算は,研究を促進するための研究員人件費,また,本研究で得られた結果を学会にて発表する際の旅費として使用する予定である.
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