2018 Fiscal Year Research-status Report
準包接水和物の特異なガス分離特性の解明と発現する熱力学条件の探索
Project/Area Number |
18K13710
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
室町 実大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (50711785)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | セミクラスレートハイドレート / ガス分離 / 相平衡条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はH2 + CO2ガスのガス分離について研究を実施した。Tetra-n-butylammonium bromide および chloride、Tetra-n-butylphosphonium bromide および chlorideをイオン性物質として用い、H2 + CO2ガス加圧下にてセミクラスレートハイドレートを生成した。ガス分離特性分析試験に先立って、ハイドレートの生成条件、すなわちガス-ハイドレート-水溶液相から成る3相平衡条件を取得した。水溶液中のイオン性物質濃度により、ハイドレートの生成温度圧力条件は大きく変化する。そのため10、20、30 mass%の3通りの水溶液濃度について生成条件の測定を行った。測定圧力範囲は1-5 MPaとした。測定法には温度探索法を用いた。現在までに、各イオン性物質について10 mass%の水溶液濃度のときの相平衡条件を取得した。今後20、30 mass%の水溶液濃度についても測定していく予定である。 ガス分離特性分析試験のため、新たに容積可変型装置を設計および製作した。ガス相の体積を変化させることで、一度の試験で多段分離プロセスを模擬することができる。これにより、イオン性物質と混合ガスの組み合わせについて、ガス分離特性の迅速な評価が可能となった。本装置によりハイドレートを生成する予備試験を完了した。今後、水溶液濃度をパラメータとして各イオン性物質のガス分離特性を評価していく。本年度はTetra-n-butylammonium bromideについてH2 + CO2ガスの分離特性分析試験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って進捗している。初年度はガス分離特性分析試験に向けた基礎データとして、相平衡条件の測定を中心に研究を実施した。一方でガス分離特性を評価するための新たな装置を製作した。本装置について予備試験を完了し、本測定を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
4種のイオン性物質について、H2 + CO2ガスの分離特性分析試験を継続し、次年度中に完了する。相平衡測定実験を残りの水溶液濃度について実施し、ハイドレートの生成条件やポリモーフィズムについて考察する。各系における水和物構造についても、得られた相図に基づいて結晶サンプルを生成し、X線結晶構造解析により分析する。以上により代表的な4種のイオン性物質についてH2 + CO2ガス分離特性と水和物構造の関係を明らかにする。 同様のガス分離実験と相平衡測定実験をCH4 + CO2ガスやCH4 + N2ガスについても開始する。 これまでに得られたガス分離特性と水和物構造の関係についての知見に基づき、その他のイオン性物質についても探索を開始する。
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Causes of Carryover |
実験プロセスを工夫することにより消耗品を節約することができたため、残額が生じた。翌年度に試薬や装置のメンテナンス品の購入等で有効に使用する。
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