2018 Fiscal Year Research-status Report
多様な尖度を考慮した非ガウス性不規則励振を受ける系の解析手法開発と応答特性の解明
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18K13712
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土田 崇弘 東京工業大学, 工学院, 助教 (50707578)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 不規則振動 / 確率論的応答解析 / 確率力学 / 非ガウス性不規則励振 / 確率密度関数 / 尖度 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,非定常非ガウス性不規則励振モデルの開発に取り組んだ.この励振モデルでは,その確率密度関数の裾の広がりを特徴づける尖度だけでなく,振動系の挙動に大きな影響を与えるパワースペクトルの帯域幅と卓越振動数も可変であることを目指した.さらに,今後の多方面への応用・発展も視野に入れ,振幅非定常性も合わせて考慮した.以上の全ての要素を広い範囲で調節できる励振モデルを,以前に開発した定常非ガウス確率過程モデルを拡張することによって開発した.具体的には,励振モデルF(t)を,振幅非定常性を表す確定包絡関数e(t)と上記の定常非ガウス確率過程モデルU(t)の積F(t) = e(t)U(t)で表す.ここで,U(t)は観測データの尖度に一致する非ガウス分布と,観測データと同じ帯域幅・卓越振動数をもつパワースペクトルの2つにしたがうように与える.以上の方法で,所望の非定常非ガウス性励振モデルを実現した. 多様な工学問題に応用できる励振モデルを開発するため,1. 強地震動と2. 凹凸路面を走る台車に生じる加速度(走行車に生じる加速度を模擬)という全く異なる2種の非ガウス性振動の観測データを用いて,モデルの妥当性と汎用性を検証した.地震動については入手済みの尖度の異なる10通りのデータを使用した.台車振動については荷台中央部に加速度センサーを設置した台車を実際に走らせることで測定した.この際,様々な路面で計測することで,尖度の異なるデータを収集した.これらの観測データとモデルから生成した標本データの確率密度関数およびパワースペクトルは,いずれの場合でも良く一致しており,本モデルが実在する多様な非ガウス性励振を正確に表現できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に予定していた,「分布の尖度とパワースペクトルの帯域幅・卓越振動数,振幅非定常性を多様に調節できる非定常非ガウス性励振モデルの開発」を予定通り完了したため. また,2つめの実施項目である「上記非ガウス性励振モデルを用いた系の応答解析手法の開発」にも着手し,比較的順調に開発が進んでいるため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度から継続している「非ガウス性励振モデルを用いた系の応答解析手法の開発」を引き続き進める.実在の励振を参照しながら,励振についての複数の解析条件(尖度, 帯域幅, 卓越振動数,振幅非定常性)を設定し,解析手法の結果とモンテカルロ・シミュレーション及び一自由度振動系モデルの不規則加振実験の結果を比較することで,解析手法の有効性と適用できる励振のパラメータ領域を検証する.解析精度が不十分な場合,その主原因になると予想される混合ガウスモデルを他のモデルに変更し,精度向上を図る. 上記の手法開発完了後,一自由度線形系を対象として,励振モデルの尖度,帯域幅,卓越振動数の3つを広範囲で変化させながら,開発した応答解析手法を用いて,応答の分布と統計量を求める.この結果を基に,1) 励振の尖度が応答(系の信頼性に大きく関わる最大応答に特に着目)に与える影響と,2) その影響度合いが帯域幅・卓越振動数の変化によりどのように変化するかを定量的に評価し,知見を体系的にまとめる.
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Causes of Carryover |
理由1.ワークステーションおよび液晶ディスプレイを当初予定より安価に購入できたため , 2.外付けハードディスクおよび加速度ピックアップについては,研究室で既に所有しているものを代用し,購入をとりやめたため, 3.論文投稿を延期したため 使用計画1. 平成31年度購入予定であるファンクションジェネレーターのスペックを上げ,研究のさらなる効率化を図る, 2.投稿を延期していた論文の投稿費,英文校閲費に充てる, 3.新たに開催が決まった国際会議「18th Asian Pacific Vibration Conference (APVC 2019)」の参加費・旅費に充てる.
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Research Products
(1 results)