2018 Fiscal Year Research-status Report
自励駆動型超音波を用いた非線形波動変調に基づく接触型損傷の検出
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18K13716
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
田中 昂 滋賀県立大学, 工学部, 助教 (60759273)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超音波 / 非線形振動 / 損傷検出 / 自励駆動 / 固有振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
損傷を構成する界面が接触、押圧されている接触型損傷は、超音波が透過してしまい検出が困難である。構造物の稼働時に発生する振動などにより損傷の接触状態が変動すると、接触状態の変動に同期して構造物の剛性が変化し、振幅や位相が変調する現象(非線形波動変調)。この現象は接触状態の変動に依存するため、健全時のデータを必要とせず接触型損傷を正確に評価できる。一方で、変動の大きさは,構造物の減衰に依存して変化してしまうため、損傷の絶対評価を行うことが困難であった。本研究は、固有振動数で自励発振する自励駆動法を用いることで、減衰の影響を受けない新たな損傷評価技術を提案することを目的としている。平成30年度は、「自励駆動型超音波を用いた損傷検出法のシミュレーションによる検討」「自励駆動型超音波による加振技術の確立」を行った。 まず、接触状態の変動を局所的な剛性変動で表現することで、超音波振動のモード剛性が接触状態の変動に同期して変動する1自由度モデルを作成した。作成したモデルの時刻歴応答解析を行い、非線形波動変調発生時の固有振動数追従性能を評価した。剛性変動の周波数と超音波の固有振動数が十分に離れている場合に、線形時変システムとみなせることを確認した。さらに、自励駆動で発生する加振周波数変動の振幅が減衰の影響を受けないことを明らかした。以上のことから、加振周波数変動の振幅は新たな損傷指標になりうることを確認した。 次に、速度フィードバック制御を用いた超音波周波数帯域における自励駆動実験を行った。まず、自励駆動に必要な制御回路をLTSpiceを用いて設計し,実装した。作成した自励駆動回路を用いて自励駆動を行ったところ、固有振動数に近い周波数で発振することを確認した。さらに、非線形波動変調発生時に発振周波数が変動するかを調査した。その結果、発振周波数の変動が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形波動変調の1自由度モデルを用いた時刻歴応答解析により、固有振動数で自励駆動した時の発振周波数が損傷の大きさを表す剛性変動に同期して変動すること、減衰の大きさに依存しない損傷指標となることを示すことができた。また、自励駆動回路を設計、実装でき、超音波の自励駆動を実現することができた。さらに、剛性変動に追従して発振周波数が変動することを確認することができた。したがって、当初の計画を達成しており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、シミュレーションおよび実験の両面から、自励駆動の発振周波数が固有振動数変動に追従して変動することを確認することができた。 一方で、発振時に振幅が発散することを防ぐために導入している飽和要素によって、損傷指標がわずかに変化してしまうことが確認された。 そこで、平成31年度/令和元年度は、van der Pol方程式を応用した制御を導入し、飽和要素を用いず安定な持続振動が実現するかシミュレーションにより検討する。 さらに、構造物の減衰を変化させた実験を行い、発振周波数の変動振幅が減衰に依存しない損傷指標となるかを検証する。
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Causes of Carryover |
研究開始当初の予定では、アナログ回路設計を業者に発注する予定であったが、制御方式の模索のために基本の回路設計を自身で行った。そのため、本年度に予定していた回路設計、作成を次年度に行う予定である。
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Research Products
(1 results)