2019 Fiscal Year Research-status Report
人は「なぜ」安定に運動可能か:人工筋骨格ロボットの運動安定性に関する数理的解明
Project/Area Number |
18K13718
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
中西 大輔 松江工業高等専門学校, 電子制御工学科, 助教 (00806086)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 空気圧人工筋肉 / 筋骨格系 / 脚先軌道制御 / 自律協調制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度筆者は,(1)2自由度脚モデルの運動制御,(2)拮抗筋の自律協調制御(張力フィードバック協調制御),の2つのテーマに重点をおいて研究を行った. (1)2自由度脚モデルの運動制御:本年度は,歩行運動を意識して腰から下を模した脚モデルについて,任意の脚先軌道を実現するような圧力入力の設計法に関して特に研究を行った.モデルは膝と腰の周りにそれぞれ一対の拮抗した空気圧筋が配置された,2自由度4筋のモデルである.歩行運動をイメージした脚先周期軌道に対して,それを実現するような各筋への印加圧力を,試行錯誤によらず定量的に設計する手法を,力学解析に基づいて導出した.またシミュレーションおよび実機検証にてその妥当性を確認した. (2)拮抗筋の自律協調制御(張力フィードバック協調制御):昨年に引き続き,張力フィードバック協調制御に関する研究を行った.大腿部を模した,1自由度2筋の脚モデルに対して同制御則を適用し,生成される運動について解析を行った.結果,フィードバックの強度を変えることで,異なるタイプの協調関係が生まれることが明らかとなった.また脚モデルの特性(重さや長さ,筋付着位置など)を変えることで,協調関係-フィードバック強度の関係がどのように変化するかについても研究を行い,その傾向を探った.これらの結果は昨年度学会発表を行い,また学術論文として取りまとめ投稿,掲載された. また,同制御を人間の上体を模した倒立振子様の1自由度2筋のリンク系に適用し,シミュレーションによる解析を行った.その結果,フィードバック強度を適切に選ぶことで,上体が前後に揺れる周期運動だけでなく,静止した状態も作り出すことができることがわかった.一つの制御則で,運動状態も静止状態も作り出すことができるという点において,非常に興味深い結果であると言える.この結果は昨年度学会にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では,上半身を有する3自由度モデルについて安定性解析を行う予定であった.これに対して筆者は昨年度,3自由度モデルではないものの,張力フィードバック協調制御という新しいアプローチで上半身モデルを制御することに成功した.また,下半身脚モデルについて,歩行運動をイメージした脚先軌道を生成することに成功した. これらのことを総合すると,多少当初のシナリオとは違うものの,総じて期待通り研究が進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画に従い歩行運動の実現を目指し,昨年度提案した脚先軌道制御法と,張力フィードバック協調制御を組み合わせたような制御法を考え,目標軌道を設定しつつも自律的にそれを実現することを目指す.また上半身を有する筋骨格モデルについても,昨年度シミュレーション結果を実機実験にて検証する予定である.
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Causes of Carryover |
論文の掲載料の支払いが年度を跨いだため,またノートパソコンなどの購入を保留しているために研究費に未使用額が生じた.しかし研究計画に変更はなく,前年度の研究費も含め,当初予定通りの計画を進める予定である.
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