2018 Fiscal Year Research-status Report
脳膜・脳血管・脳実質モデルを組み込んだ脳裂開放手術ハプティックシミュレータ
Project/Area Number |
18K13720
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
陳 暁帥 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (40812277)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脳裂にある結合組織の損傷破壊数値計算モデル / 脳血管の損傷破壊数値計算モデル / 脳神経外科手術シミュレータ / 脳神経外科手術支援システム(AR表示) |
Outline of Annual Research Achievements |
「脳膜・脳血管・脳実質モデルを組み込んだ脳裂開放手術ハプティックシミュレータ」を実現するために,以下の研究を実施した。 1.脳裂開放手術シミュレーションを実現するために,脳裂の間にある結合組織に関する損傷破壊数値モデルを提案した。また,ブタの大脳を用いて,脳裂圧排開放実験を行った。実験データに基づいて,提案した脳裂結合組織の損傷破壊数値モデルに要する物性値パラメータを同定した。さらに,脳裂結合組織を考慮した脳裂開放シミュレーションを行った。シミュレーションで計算した反力は実験結果の傾向を再現できることがわかった。(業績【学会発表】1) 2.脳血管はくも膜下腔にあり,くも膜小柱で拘束されている。血管の温存に成功する基準を確定するために,くも膜,くも膜小柱,と血管がある簡易モデルを作成し,血管剥離シミュレーションを行った。その基準が速度であると確認できた。血管剥離シミュレーションのために,血管の損傷破壊モデルを提案し,それに関する物性値パラメータを同定した。 3.シミュレーションの結果を直感的に術者に提示するため,AR (Augmented Reality:拡張現実)を用いて患者の頭部を捉えたカメラ映像に脳の変形モデルを重畳することによって,実時間でシミュレーション結果を可視化するシステムの構築を行った。(業績【学会発表】2,4,5)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究計画は「くも膜・血管の変形と反力を精度良く計算するモデルの開発」だった。 まずは脳組織のパラメータの同定を行った。予定として,ブタの脳などを用いて,くも膜,血管などの機械的特性(ヤング率,ポアソン比,ひずみ-応力特性,破断強度など)を同定する。この項目について,血管と脳裂にある結合組織のパラメータを同定した。くも膜については次年度に行う予定である。 次は膜・血管・脳実質モデルの構築である。この項目について,くも膜,くも膜小柱,と血管がある簡易モデルを作成し,血管剥離シミュレーションを行った。次年度により詳細なリアルなモデルを作成する予定である。 また次年度の研究計画である「切断や剥離を模擬するために,生体組織の損傷破壊モデルの確立」の一部,脳血管の損傷破壊モデルを開発した。 以上により,研究はおおむねに順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策について,以下のように計画している。 1. くも膜の損傷破壊モデル損傷破壊モデルを確立する。 2. ブタの脳などを用いて,くも膜の機械的特性(ヤング率,ひずみ-応力特性,破断強度など)を同定する。 3. 1と2の結果を用いてくも膜のモデルを作成し,くも膜の引張破壊シミュレーションを行う。 4. 開発した血管モデルをシミュレーションに加えて,血管の温存術技を体験できるシミュレーションを構築する。
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Causes of Carryover |
今年度中にシミュレーションの数値計算モデルの開発に力を入れた。手術シミュレーションには計算速度も重要であるため,高性能PCを予算として計上したが,購入が遅れた。次年度にシミュレーションの計算量に相応するGPU付きの高性能PCを購入する予定である。
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