2018 Fiscal Year Research-status Report
巧みなハンドリングに寄与する触覚機能の解明:皮膚変形の時空間分布再現を起点に
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18K13722
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
永野 光 神戸大学, 工学研究科, 助教 (70758127)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ハプティクス / 触覚ディスプレイ / 皮膚感覚 / 触感 |
Outline of Annual Research Achievements |
形状や柔軟性の異なる道具・物体のハンドリングにおいて,ヒトは対象に加わる力の大きさや方向,摩擦感や硬軟感などの触感の違いを多指を介して把握し利用している.本研究課題では,皮膚刺激の時間・空間分布を提示する装着型触覚ディスプレイの開発および評価を通じて,仮想・遠隔環境における巧みな物体・道具のハンドリングに対する皮膚感覚の寄与を明らかにする. 今年度は,吸引圧分布刺激による皮膚変形(高解像度空間パターン)提示方法の構築に主に取り組んだ.指先に装着可能な小型軽量な吸引圧触覚ディスプレイを設計した.ディスプレイの設計パラメータとして,指先皮膚に接触する面に配置する吸引口群の口径および口間距離があり,心理物理実験に基づくそれらのパラメータの最適化を実施した.口径および口間距離が異なる条件で,複数吸引口からの吸引圧刺激を,独立した点刺激群ではなく面状の刺激とヒトが知覚する条件を,弁別課題を実施することで調査した.その結果,吸引口径および口間距離が1.7 mmおよび2.8 mmが適していることを示した. また,装着者自らの触動作に応じた刺激分布提示を実現するため刺激分布を実時間で計算するシミュレータとの統合も実施した.統合したシステムの基礎的な特性として,指先押し込み変位に応じて計算圧力および提示圧力の分布が正常に応答していることを示した.また,接触面に対する指の姿勢に応じた圧力分布の変化を計測するとともに,接触対象の硬さ弁別実験を通じて構築したシステムによって硬軟感の提示が可能であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
吸引圧分布刺激を用いた触覚ディスプレイに関して,パラメータの最適化とそれに基づく設計,実時間シミュレータとの統合が完了した.また,統合したシステムを用いた評価実験も実施することができた.さらに,これらの成果は,国際会議論文の採択として結実することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
振動触覚ディスプレイとの統合,および相互作用の検証を実施する.また,仮想環境もしくはロボットを用いた遠隔操縦環境において,触覚提示の有効性評価を実施する.
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Research Products
(4 results)