2019 Fiscal Year Research-status Report
多足生物に見られる多様な波の生成原理と機能の解明,およびその応用
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18K13723
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安部 祐一 東北大学, 工学研究科, 助教 (90778622)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多足歩行 / 進行波 / 後退波 / 肢間協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,多足生物の歩行に見られる多様な波(進行波,後退波,わきだし波)の生成原理と機能を数理的に解明し,その生物学的妥当性を検証しつつ,そこから明らかになる知見をロボットに応用することを目的としている. 令和元年度は,「多足生物は多様な波によって柔軟な胴体の形状を作り出すことで多様な運動能力を実現している」という作業仮説の下,多様な波が作り出す運動機能に着目して研究を行った.具体的には,まず,生物に近づけた柔軟索状体の力学モデルと動力学シミュレーションを構築した.モデルにて,駆動力を進行波と後退波で伝播させたときに,水平面上の運動において,胴体運動や運動性能にどのような機能的相違が生じるかについて調べた.シミュレーションの結果,進行波よりも後退波を用いたほうが胴体の振動を抑制することができ,さらに,同じ大きさの力を与えた場合に移動速度が速いことが明らかとなった.これらの成果は査読付き国際学会SWARM2019にて口頭発表を行った. また,平成30年度に引き続き,シンプルな数理モデルを用いて,わき出し波と沈み込み波を生成する力学構造の違いについての理論解析を行った,数理モデルの解析解をいくつかの物理的仮定の上で求めることに成功し,沈みこみ波が存在できない理由を明らかにした.得られた結果は国内学会である計測自動制御学会システム・情報部門学術講演会 2019にて発表を行い,現在学術論文を執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
およそ当初の計画通り,生成された多様な波の運動性能に対する分析を進めることができ,国内外で結果を報告できているため.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,多様な波の機能的相違について引き続き分析を進め,ロボットへの応用,生物での計測検証を目指す.具体的には,モデルや環境条件,目標とする運動を変化させることで,波の運動性能への影響を詳細に調べる.また,実験機をもちいた現象の確認を行い,ロボットへの応用可能性を検討する.また,生物を用いて胴体や環境の力学特性を変化させることでどのような波が形成されるかを計測し,これまでの結果を再考察する.
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Causes of Carryover |
本年は動力学シミュレータを開発し,それをもとに研究を進めた.そのため実験機の補修のために用意していた金額を使わなかった. 本余剰資金は来年度に行う予定であるロボット実験のための補修費用として用いる予定である.
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