2020 Fiscal Year Research-status Report
腱構造を用いた内骨格型力覚提示システムに関する研究
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18K13724
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白藤 翔平 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80779330)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ウェアラブルデバイス / 関節角度推定 / 力覚提示 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人の指の上に腱状の構造を配置し、装着者の骨格をリンク系として直接駆動ことで、従来のリンク機構を用いた装置に比べ、非常にコンパクトな力覚フィードバック装置の開発を目指している。これを実現するため、(A)手の各関節に力を提示るには、腱をどのように手の表面に配置するか、(B)個人ごとに異なる手のパラメータをどのように同定するか、(C)同定されたパラメータをもとにどのように制御をおこなうかという問題に取り組んでいる。本年度は、(B)及び(A)の問題に取り組んだ。(B)に関しては、昨年度までにも取り組んできたが、腱駆動の装置では、腱と関節の間のモーメントアームの同定が重要であり、本研究において関節角度と腱の変位を精確に計測することが重要な課題であった。昨年度には、本研究で新たに提案している、指の関節上に一定の厚みをもった薄いベルト状の柔軟材料を重ね、指の屈曲にともなう、ベルトの上下面での相対的な位置変化を計測することで、精確な関節角度を推定する手法を更に実装レベルで発展させ、力覚フィードバック装置に実装可能なシステムを実現した。本年度には、更に、(A)に関して、実際に指に力覚をフィードバックする腱の配置の検討をおこなった。指関節に腱を通して、例えば仮想空間における力を伝える場合には、上記の手法で同定された関節と腱の間のモーメントアームの関係をもとに、順運動学を解き、それに応じた張力を腱に発生させる必要がある。しかし、指の上に腱(ワイヤ)を設置できる箇所には限りがあり、その配置が指先に加わる力を装置を通して再現できる範囲を決定する。本年度は、この関係を解析することで、妥当な腱の配置を検討し、提案した。来年度には、上述のこの解析結果にもとづいた装置の開発をおこなうとともに、(C)の制御則について検討をおこない、本研究で提案する装置を実現する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記述した研究実施計画の項目(A)装置の腱配置の決定、(B)関節角度と腱の移動距離との間の関係の計測、(C)制御手法の提案のうち(B)が完了、(A)がおおむね完了 し、基礎的な技術が完成したことから、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、検討、提案した指へ装着する腱の配置にもとづき、実際の装置を開発するとともに、これを駆動し、必要な力覚を提示するための制御則について検討をおこない、本研究で提案する装置を実現する。
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Causes of Carryover |
計画していた学会発表等での出張が新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、中止になったことに加え、本来計画していた装置の開発が次年度に持ち越しになったため。本年度に計画している装置開発や、研究成果の発表費用等に使用する予定である。
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