2018 Fiscal Year Research-status Report
フライングキャパシタ線形増幅回路の超多直列化によるノイズレスインバータの実現
Project/Area Number |
18K13739
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小原 秀嶺 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教 (50772787)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パワーエレクトロニクス / ノイズ / リニアアンプ / インバータ / 高効率 / フライングキャパシタ線形増幅回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,フライングキャパシタ線形増幅回路(FCLA)の直列素子数を増やすことにより,半導体パワーデバイスのスイッチング動作を用いずに高い変換効率を達成し,広義のノイズ(電磁ノイズ,高調波,漏れ電流,騒音など)を原理的に発生しないインバータを実現しようとするものである。当初の研究計画に従い,2018年度は,(1)フライングキャパシタ電圧バランス制御の提案と解析,(2)シミュレーション検討および効率解析,(3)提案回路試作と実験実証の3点について実施した。 (1)FCLAを補助回路無しに単一の電源入力で用いるため,補助回路を用いずにフライングキャパシタの電圧バランスを実現する手法を提案した。全ての半導体パワーデバイスに共通のゲート信号を入力する従来の回路方式では,各フライングキャパシタの充放電モードが制限されてしまうことを明らかにし,各半導体パワーデバイスに線形動作する個別のゲート回路を接続することで,充放電バランス制御を実現する方式を提案した。 (2)上記の電圧バランス制御を適用し,シミュレーション検証を行った。提案方式は,直列素子数に対して規則性を持つように実装出来ることを確認し,各アームの直列素子数を2~40直列として検証を行った。電圧バランス制御に伴って,原理的に損失は増大してしまうが,その割合はフライングキャパシタの充放電周波数の設定値に依存し,効率ベースで3%程度以下に抑えられることが分かった。想定される動作条件において,導通損失等を加味しても直列素子数を30以上にすると最大効率を95%以上に向上出来る見込みを得た。 (3)最もシンプルな4直列FCLAを設計,試作し,提案バランス制御が実現出来ることを確認した。線形動作の損失のみを考慮した場合の理想効率が83.9%なのに対して,バランス制御による損失および回路損失全てを含む試作回路の効率実測値は80.6%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主たる開発要素であったフライングキャパシタの電圧バランス制御手法を提案し,その有用性を理論解析,シミュレーション,実験で確認することができた。また,損失解析を進め,ターゲットとしている効率95%超の線形増幅回路を実現するための直列素子数を算出し,次年度の目標を明確にした。提案した電圧バランス制御方式は,直列素子数を増やしても規則的に実装することが出来,回路全体としてモジュール化の概念を用いて実装出来るため,多直列化による高効率化の実現可能性を高めることが出来た。 以上から,研究計画に沿って所期の年度目標を達成することが出来たため,順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き,研究計画に沿って遂行する。 2018年度に確立した基本原理をもとに,より多直列化,大容量化を施した高効率の線形増幅回路を開発する。
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