2018 Fiscal Year Research-status Report
蓄熱・伝熱同時制御材料の創製と小型高効率熱電発電システムへの応用
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18K13748
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
塩尻 大士 東京理科大学, 基礎工学部材料工学科, 助教 (30784235)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 熱制御材料 / 金属絶縁体転移 / 熱伝導率 / 蓄熱 / 還元型酸化チタン |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキタス且つ膨大な熱エネルギーの高度制御技術の実現と高効率な資源化に向けて、熱を蓄え・伝達し・遮断し・制御し・利用するための材料基盤技術の確立が求められている。本研究では、熱伝導率と蓄熱機能とを同時且つ可逆的に制御可能な蓄“熱”スイッチ材料を創製し、自動調温機構として応用することで熱電発電システムの高効率化を目指す。2018年度は、材料候補として数種の金属絶縁体転移材料とその複合材料の基礎的な熱的性質について調べた。その結果、金属Wと450 Kに金属絶縁体転移点を有する還元型酸化チタンTi2O3との複合焼結体について次の知見を得た。 (1) 焼結条件の適正化:プラズマ放電焼結法を用いたAr不活性雰囲気中での1400℃の焼結により、高純度且つ相対密度95%以上の緻密なTi2O3基複合焼結体が得られた。 (2) 熱伝導率変化値の材料複合効果:純Ti2O3焼結体は金属絶縁体転移により450 Kで0.33 W/m・Kの電子熱伝導率変化を伴うが、50 vol%のWとの複合化により0.87 W/m・Kに増大した。また、格子熱伝導率も含めた全熱伝導率の変化値は2.95 W/m・Kであり、純Ti2O3焼結体の0.57 W/m・Kに比べて約5倍の値が得られた。 (3) 材料組織変調による熱機能向上:金属絶縁体転移により母材の熱伝導率が変化する複合材料について、材料組織ごとに複数の熱伝導率変化モデルを構築した。モデルに従い材料組織を変調したことにより、(2)に比べてW充填量を40%減少させつつも電子熱伝導率の変化値は2.18 W/m・Kへ2.5倍に増大した。また、全熱伝導率においては(2)と同様の変化値が得られ、金属絶縁体点移点での蓄熱密度は1.4倍の値を得た。上記の熱伝導率変化モデル及び実験結果を基に、熱伝導率変化値だけでなく変化比の増大に向けた幾つかの材料設計指針を獲得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、材料及び合成条件のスクリーニングは概ね完了している。また、熱機能向上に向けて複数の材料設計指針を獲得したことに加えて、前倒しで熱電システムへの応用に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の研究から得られた知見を基に当熱機能材料の更なる高性能化に取り組み、同時に熱電システムの高効率化応用について検討を重ねる。得られた研究結果について国際会議等で議論するとともに、学術論文にて成果を公表する。
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Causes of Carryover |
2018年度に購入予定であった一部の消耗品は2019年度に購入する。
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Research Products
(2 results)