2020 Fiscal Year Research-status Report
Computer vision for wireless communications
Project/Area Number |
18K13757
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西尾 理志 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80711522)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ミリ波通信 / 無線ネットワーク / コンピュータビジョン / 機械学習 / プロアクティブ制御 / 連合学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
無線通信環境をみるコンピュータビジョン技術の研究目的は、カメラやレーダなどの視覚(ビジョン)データから無線通信品質を予測することである。ミリ波通信や可視光通信、テラヘルツ通信など超高周波帯を用いた通信では、歩行者や車、植物などが見通し通信路を遮蔽すると信号電力が大きく低下し、通信品質を劣化させる。一方、反射物となるようなものが近傍に存在すれば、強い反射波を受信することで通信を継続することができる。このような電波伝搬空間情報はカメラやレーダなどビジョンデータに内包されており、それを読み解くことで通信品質を予測できる可能性がある。令和2年度は、これまで確立してきたカメラ画像から無線通信受信電力を予測する技術において、データの取得と学習を同時に行い環境変化に自動的に適合しながら予測システムを実装し、実験的に有効性を示した。これまでの検討では、事前に取得した大量のデータセットを用いて深層学習モデルを訓練し、予測モデルを生成していた。しかし、この方法では環境に変化が生じると予測精度が低下するという課題があった。今年度は、端末が自身に具備された無線LANとカメラを用いて、通信品質と画像データを同時に取得し、取得したデータを用いて逐次的に予測モデルを更新するシステムを、市販の機器を用いて実装した。5 GHz帯無線LAN環境での実験では、送信端末の位置が変更するなどの環境変化が発生すると一時的に予測精度が低下するものの、時間経過とともに予測精度が改善できることを実証した。加えて、Federated Learningと呼ばれる分散協調的な機械学習を発展させ、非常に少ないトラヒックで学習する手法を実現した。これにより、複数の分散した無線拠点間で協調的に予測モデルを学習できるようになり、高い精度のモデルを効率よく獲得できるようになる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予測モデルの学習、特にFederated Learningを用いた分散協調学習において、IEEE論文誌に採録されるなど、顕著な業績をあげている。加えて、本研究の核をなす無線通信とコンピュータビジョンの融合領域に関するコンセプト論文を国際共著で執筆するなど、当初予定以上の発展をみせている(現在査読中)。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度である令和3年度は、無線通信へのコンピュータビジョン応用に関して、研究領域の拡大を目指す。特に、新たな発展として、これまで取り組んできた問題の逆問題、すなわち、通信信号から画像的情報を復元する技術についても検討をすすめ、無線通信とコンピュータビジョンの新たな可能性を模索し、研究領域のさらなる発展を目指す。
|
Causes of Carryover |
令和2年度についてもCOVID-19の影響により、国内外の出張を行えず、その旅費分が次年度使用額となった。本次年度使用額は論文発表や国際会議発表において、発表論文をオープンアクセス化する際の費用にあてるなど、研究成果の公開に使用する。
|