2018 Fiscal Year Research-status Report
投薬量最適化のための免疫抑制剤血中濃度モニタリングを目指した連続式センサの創製
Project/Area Number |
18K13763
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
當麻 浩司 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (40732269)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バイオセンサ / 免疫抑制薬 / モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、臓器移植治療や自己免疫疾患治療などに用いられる免疫抑制薬による副作用の軽減・効能の最大化を実現するために、表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサを利用した血中免疫抑制剤モニタリングシステムの要素技術を構築することである。免疫抑制薬の血中濃度変化を連続的に捉えることで、個別に薬剤投与量の微調整が可能となり、免疫抑制薬による副作用と薬効が最小かつ最大化された安全で有効な治療法へ繋がる技術にむすびつくと考え、研究を進めてきた。2018年度は(1)繰り返し免疫測定が可能なSPRバイオセンサの構築を行った。 励起波長633 nmのHeNeレーザーを光源とし、SPRをクレッチマン配置により励起した。ガラス基板上にそれぞれ約3 nm、45 nmの膜厚でチタン、金を製膜することでSPR用チップとした。なお免疫抑制剤は非常に低分子であることから、屈折率を利用した非標識は難しいと判断し、蛍光を利用した測定法を採用した。表面プラズモンを用いた蛍光検出系では、プラズモンによる増強電場が高効率に蛍光分子を励起する(surface plasmon-enhanced fluorescence, SPF)。蛍光検出器は、SPR用装置をベースに、小型かつ高感度なMulti-Pixel Photon Counter(MPPC)を追加することで構築した。蛍光検出系の基礎特性評価として、濃度の異なる蛍光溶液を負荷したところ、濃度に応じた蛍光の増加(センサ出力)が確認された。また更なる高感度化のために、広範囲の蛍光を集光するためのライトパイプを作製した。以上のように、当該年度に予定していた(1)の研究目的を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請課題の目的は、臓器移植治療や自己免疫疾患治療などに用いられる免疫抑制薬による副作用の軽減・効能の最大化を実現するために、表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサを利用した血中免疫抑制剤モニタリングシステムの要素技術を構築することである。特に2018年度では(1)繰り返し免疫測定が可能なSPRバイオセンサの構築と改良を計画していた。これに対し申請者は、SPFを利用した蛍光検出系の構築や、高感度化のためのライトパイプの作製を行うなどの改良を加え、さらにその蛍光検出系の基礎特性評価も行い、2019年度の目標を概ね達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度で得られた結果を基に、まずは(2)の標準免疫抑制剤サンプルによるセンサの評価・最適化を行っていく。特に免疫抑制剤は低分子であることから、効率的に抗体へ結合する条件(pHや濃度など)を最適化する必要がある。その後は(3)光学系・流路・表面修飾・測定法の改善による測定法の改善による更なる感度・再現性の向上を図っていく。将来的には、本研究で確立した3つの要素技術を基礎とし、免疫抑制薬の血中濃度変化を連続的に捉えるモニタリングシステムの構築、またその小型化へと移行し、血中の免疫抑制剤濃度の時間情報に基づく安全で有効な治療法につながる技術の確立へ応用・展開していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
理由:試薬などの消費量が想定より少なかったため。 使用計画:主に試薬やガラスなどの消耗品、学会参加のための旅費へ支出する。
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Research Products
(1 results)