2018 Fiscal Year Research-status Report
光学的手法に基づく新たな圧力計測システムの開発~広範囲を一台で高精度に計測~
Project/Area Number |
18K13771
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
武井 良憲 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (00805145)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 圧力 / 真空 / 計測 / 絶対値 / 屈折率 / ファブリペロ共振器 / 光学的圧力計測 / 標準 |
Outline of Annual Research Achievements |
圧力の絶対値を計測するためには、圧力計は標準器を用いて校正される必要がある。本研究では、将来の標準器の1つとするために、光学的圧力計測システムを開発している。気体の状態方程式および分子密度と屈折率の関係式を用いて、圧力は気体の屈折率と温度から求められる。光学的圧力計測システムを用いることで、1 Pa~100 kPa の圧力範囲においては従来の標準器よりも小さな計測の不確かさを達成できる可能性がある。さらに、光学的圧力計測システムは、広い範囲の圧力値を高分解能に非接触かつ連続的に計測可能であるため、新たな分野に応用できる。 初年度は新たな実験系の立ち上げとして、次の①②③の要素技術を確立した;①外部共振型半導体レーザとヨウ素安定化ヘリウムネオンレーザを用いて、ファブリ・ぺロ干渉計による屈折率計測システムの構築した、②恒温水を用いて真空チャンバの温調を行い、チャンバ内の温度を、24時間で標準偏差1 mK に安定させることに成功した、③圧力計を従来の標準器にトレーサブルに校正し、高い信頼性で圧力を計測した。その後、開発した光学的圧力計測システムの評価のために、まず、10 kPaから100 kPa までの複数の圧力点に対して、従来の標準器で校正された圧力計と計測結果を比較した。次に、100 kPa ± 9 kPa の範囲の圧力を連続的に計測した。各圧力点における繰り返し性も非直線性も、圧力計の校正の不確かさの範囲内であり、開発した光学的圧力計測システムが精確に圧力を測れていることが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
光学的手法の先端技術を圧力の計測に応用するために、産業技術総合研究所計量標準総合センター内の圧力真空標準研究グループと長さ標準研究グループの専門家の協力を仰いだ。結果として、光学的圧力計測システムのための、光学的な屈折率計測、温度の安定化と計測、圧力の安定化と計測、の基盤技術を迅速に立ち上げることができた。さらに、開発したシステムの評価実験を行った。繰り返し性0.1 Pa (標準偏差)、非直線性0.2 Pa (標準偏差)など、初期段階としては十分に高精度な結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、屈折率計測システム・温度の安定と均一化・安定な圧力場の発生などの要素技術を統合し、新たに圧力計測の実験系を構築した。さらに、屈折率変化量と圧力変化量の間の直線性評価を行った。今後は、下記の研究により開発したシステムの高度化を図る;①レーザの多層膜ミラーへの浸み込み深さを計測する、②計測範囲を1 P ~ 100 kPa に拡張し性能を評価する、③チャンバを改良することでアウトガス低減やヘリウムガスを安定的に利用可能にする。
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Causes of Carryover |
実験系の立ち上げに必要な物品の調達および成果発表に予算を充てた結果、24円の次年度使用額が生じた。次年度の使用計画に関して、当初の予定通りに進める。
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