2018 Fiscal Year Research-status Report
リーマン多様体上の最適化手法を用いた大規模電力ネットワークシステムの同定法の開発
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18K13773
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 一宏 北見工業大学, 工学部, 助教 (00751869)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 制御工学 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
電力を安定的に供給するためには、電力ネットワーク内のそれぞれの発電機は発電する際に一定の周波数を持つ交流電力を同期させる必要がある。しかし、太陽光などの再生可能エネルギーが大量に導入された将来の大規模電力ネットワークでは、気象の影響を受けやすくなり、ネットワーク内の同期の安定性を定量的に評価することが難しくなる。本研究は、リーマン多様体上の最適化手法を用いて出力データから同期している大規模電力ネットワークシステムを同定する方法を開発することを目的としている。
これに対し、本年度の成果は以下の通りである。 (1)電力ネットワークの同期安定性はネットワークから定義されるグラフラプラシアンの性質によって特徴付けられることが知られている。本年度は、データからグラフラプラシアンを構成する効率的な方法を提案した。(2)大規模なシステムを大規模なまま扱って制御器を設計することは難しく、適当に低次元化することが望まれる。本年度は、リーマン多様体上の最適化手法を用いて安定な大規模システムを安定な小規模システムへ低次元化する方法を提案した。(3)電力ネットワークシステムのネットワークが無向グラフだと考えられる場合、ある種の対称性を備えたシステムとして数理モデリングが可能である。本年度は、ある種の対称性を備えたシステムを入出力データから同定する方法を考案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的を達成するための基盤技術の開発が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の2点について検討をする。 (1)昨年度に引き続き、ある種の対称性を備えたシステムを入出力データから同定するより良い方法を考案する。 (2)電力ネットワークシステムを非負システムとしてモデル化するアプローチがある。今後は、データから非負システムを構成する効率的なアルゴリズムを開発する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は5437円というように、おおむね計画通りに研究費を使用できた。これは論文のオープンアクセス費の一部として使用する予定である。
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