2019 Fiscal Year Research-status Report
Polynomial-time Algorithms for Analysis and Control of Epidemic Spreading Processes
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18K13777
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小蔵 正輝 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (10800732)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 複雑ネットワーク / 制御理論 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度はネットワークにおけるモチーフがネットワーク上の伝播ダイナミクスに与える影響について研究を行った.従来の研究では伝播ダイナミクスの解析において隣接行列が主に用いられてきた.この隣接行列はノード間のつながりを記述する行列であり,ネットワーク解析において本質的な役割を果たすものの,ネットワークにおけるpathやcycleといった3つ以上のノードが関係する情報を含まないという欠点があった.本研究では,3つ以上のノードが関係する情報を含む行列であるnon-backtracking行列に着目した.そして,この行列の固有値を用いると,隣接行列を用いるより精度良く伝播ダイナミクスの漸近挙動を解析可能であることを明らかにした.この結果はheterogeneousなネットワークの場合にも成り立ち,汎用性が非常に高い. また,このような高次情報をネットワークの制御に活かすための理論構築を進めた.ネットワーク上のダイナミクスに頻出する非負性に着目し,ネットワーク化された非負システムの最適設計を数値的に効率よく行うための理論的枠組を確立した.この理論は,標準的なH2あるいはH無限大指標の他にもHankelノルムやSchattenノルムを取り扱うことができ,一般性が高い.加えてこの理論は,扱いが一般に困難とされる遅れ系も自然な形で取り扱うことができるという長所を伏せ持つ.バッファネットワークを用いた数値例により理論の有効性も確認している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度はネットワークにおけるモチーフがネットワーク上の伝播ダイナミクスに与える影響について研究を行った.当初の予想通り,3つ以上のノードが関係する情報を用いて精度良く伝播ダイナミクスの漸近挙動を解析可能であることを明らかにした.同時にネットワークの制御のための理論的枠組の構築にも成功しており,本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である令和2年度は,これまでに得られた理論を統合し,複雑ネットワークにおける伝播現象を効果的に制御するための枠組みを確立する.特に,ネットワークにおける接続情報へのアクセスが限定的である場合に焦点をあて,そのような情報不足を克服するための理論を開発する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により外務省から渡航に関する注意喚起が発令され,予定していた出張を行うことができないことが判明した.この出張は次年度に実施する予定である.
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Research Products
(12 results)