2019 Fiscal Year Annual Research Report
Realization of wide bandgap p-type oxide semiconductor by mist CVD method and device application
Project/Area Number |
18K13788
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池之上 卓己 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (00633538)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 酸化ニッケル / ミストCVD法 / p型酸化物半導体 / ワイドバンドギャップ半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ワイドバンドギャップ半導体として期待されるSiC(Eg:3.3 eV)やGaN(Eg:3.4 eV)では実現できない性能のデバイス作製を見据えて、より大きなバンドギャップを有する酸化物半導体にに注目した。酸化物半導体で課題となるp型伝導性をNiO(Eg:3.7 eV)を用いることで解決することを念頭に研究を行った。また、成膜プロセスとして、高品質と高生産性を両立できる溶液を原料とした大気圧プロセスであるミストCVD法を用いた。 まず、高品質な酸化物の成長と低環境負荷・高生産性を両立できるミストCVD法によって、デバイス応用に資するNiO薄膜の成長技術を確立した。成膜条件の探索にあたり、汎用性の高い基板として、c-Al2O3基板を採用した。その結果、c-Al2O3基板上に高品質な結晶成長を実現し、Liドープによるキャリア制御の可能性を示した。 次に、MgO基板上に高品質結晶成長を実現した。c-Al2O3基板上と異なり、同一構造の基板を採用したことで回転ドメインが消滅し、電気特性として移動度の向上に由来すると考えられる2桁以上の比抵抗低下を確認した。また、c-Al2O3基板上と同様に、Liドープ量を制御することで電気特性を制御し、広範なキャリア濃度制御を達成した。 今後は、研究の進捗が著しいものの、p型伝導性が実現されていないGa2O3とのヘテロ接合を形成することで、バイポーラデバイスの実現が期待できる。また、岩塩構造のZnMgOとの完全格子整合系のpn接合へと展開し、パワーデバイス応用に発展することも期待できる。
|