2018 Fiscal Year Research-status Report
The Development of Multi-Scale-Mechanical Model Considering Hydration and Deterioration Process of Cementitious Material
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18K13812
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三浦 泰人 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10718688)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | セメント系材料 / メソスケール / Ca溶脱 / 硫酸劣化 / 力学特性 / 固相の変質 / 劣化予測シミュレーション / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、セメント系材料の材料劣化前後の力学挙動をセメント固相の変化から解明し,実験と数値解析を駆使しながらそれらの関連性を統一的に評価可能なマルチスケール力学モデルを構築することを目的としている。2018年度では、次に示す実験的・解析的研究を行った。 実験的研究では、セメントペーストの力学特性を同定する上で最適な前処理方法(水和停止+乾燥処理)を決定、W/Cと前処理環境の相対湿度によるセメントペーストの力学特性評価を行った。その結果、乾燥処理におけるRHに応じて曲げ強度が4倍以上変化することを明らかにするとともに、水和停止をしなければ乾燥処理において乾燥収縮の影響によって力学特性が大きく低下することを明らかにした。また、硝酸アンモニウム溶液を用いたCa溶脱後のセメントペーストの固相の変質を評価した。固相の変質として、TG-DTAおよびSEM/EDSによって水酸化カルシウム量とCa/Si比を測定して断面内の劣化分布を評価した。断面内の劣化分布がある状態でのCa溶脱後のセメントペーストの力学特性の同定は成功した。 解析的研究では、複合相モデルの開発と連成解析システムの枠組みの再構築・高度化を図った。特に、当初の計画を前倒しして簡略化した熱力学的相平衡計算を導入したCa溶脱と硫酸劣化のシミュレーションを開発して、Ca溶脱、硫酸劣化、硫酸塩劣化による固液相の変質プロセスを簡易に再現できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画より実験的研究の進捗が芳しくないものの、解析的研究の進捗が想定より早かったことから概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度では、断面内の劣化分布の存在が力学特性に及ぼす影響を評価および除去する方法を確立することに想定より時間を要した。その解決策として、硝酸アンモニウム溶液による浸漬実験後に水酸化カルシウム飽和溶液に試験体を浸漬する方法を考案して、C-S-H中のCa量の分布を除去できることが概ね実証されている。これに加えて、モルタルのスケールにおけるCa溶脱と硫酸劣化による固相の変質と力学特性の変化を同定する。 また、この実験的研究の結果に基づいて、セメントペーストおよびモルタルのスケールにおける力学モデルの開発を行う。さらに、単一相・複合相モデルによって構築した解析モデルによって連成解析システムを用いて固相の変質および力学特性の変化を予測し、その再現性と妥当性を実験的研究の結果を用いて検証をする予定とする。
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