2018 Fiscal Year Research-status Report
表面化学作用に基づく膨潤性粘土の力学理論の構築-地盤工学における特殊粘土の再考-
Project/Area Number |
18K13824
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
京川 裕之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60799865)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 膨潤性粘土 / ベントナイト / 構成式 / 化学-力学連成 / せん断 / 浸透圧密 |
Outline of Annual Research Achievements |
地盤工学上,ベントナイトなどの膨潤性粘土は,設計法や体系化された理論のない特殊土として扱われる.本研究では,地盤工学では考慮されていない粘土鉱物の表面化学現象を取り入れることにより,膨潤性粘土の力学挙動を合理的に説明する理論体系を構築する.研究代表者は,これまで膨潤性粘土の体積変化に関する検討を行っており,イオン浸透に伴う圧密/膨潤挙動の定性的,定量的な表現に成功している.本研究では膨潤性粘土のせん断挙動について実験的および解析的検討を行った. 既往研究の文献調査を行い,イオン濃度に伴い膨潤性粘土の限界応力比が大きくなること,限界状態における間隙比も小さくなることを示した.これら実験事実を参考に,既存モデルの土粒子骨格挙動の限界状態とイオン濃度を関連付けた.改良モデルは,蒸留水で飽和された粘土(極低濃度)と高濃度イオン溶液で飽和された粘土のせん断挙動の差異を定性的に表現することができた.また,イオン溶脱(低濃度化)による海性地盤斜面の不安定化現象について,斜面応力を想定した要素シミュレーションから,イオン溶脱過程と地すべり時のひずみの蓄積過程についてパラメトリックな検討を行い,拘束応力ならびに密度によってひずみの蓄積プロセスが異なることを確認した. 解析的検討と並行して,膨潤性粘土のイオン濃度変化に対応した三軸せん断試験機装置を製作している.種々応力状態におけるせん断試験を実施し,提案モデルの精度検証を行う.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論構築(解析)については概ね順調に進んでいる.一方,実験に関しては,高濃度の塩化ナトリウム水溶液に対して防錆性のある計測器および管路の加工・製作に時間が掛かったが,初年度中に製作は完了している.
|
Strategy for Future Research Activity |
実験に関しては,初年度に部品などは全て製作済みであるためことに加え,試験サンプルの準備も並行して行っていることから,計画通り試験を行うことができると考えている. 解析については,初年度で精度検証を行った提案モデルを境界値問題(有限要素法)に適用予定である.定式化は初年度に済ましており,二年目はコード開発を行う.
|
Causes of Carryover |
防錆性のある試験機および計測器の作製(試行)に時間が掛かり,支払いが次年度になったため.
|
Research Products
(3 results)