2019 Fiscal Year Research-status Report
Real-time flood prediction of urban rivers with artificial intelligence
Project/Area Number |
18K13843
|
Research Institution | Research and Development Center, Nippon Koei Co., Ltd. |
Principal Investigator |
一言 正之 日本工営株式会社中央研究所, 先端研究開発センター, 研究員 (40463559)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 洪水予測 / 河川水位予測 / ニューラルネットワーク / 機械学習 / 深層学習 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高解像度な雨量データを活用して、人工知能を用いた河川水位予測モデルの構築および適用性検証を行うことである。これまで予測が困難とされてきた都市中小河川を対象に、迅速かつ高精度な河川水位予測の実現を目指している。研究1年目には、研究実施計画に沿って、鶴見川の都市中小河川流域において深層学習を用いた水位予測モデルの構築・検証を行っている。 研究2,3年目の実施計画には、「①様々な河川における精度検証」「②予測雨量を用いた場合の精度検証」「③他の洪水予測手法との比較」を挙げている。実施計画①②に沿って、研究2年目における2019年度は、日本国内の自治体が管理する3河川においてモデルを構築し、実況雨量(XRAIN)および予測雨量(レーダ移動解析)を用いた場合の精度検証を行った。対象とした3河川は、それぞれ急激な水位上昇などが河川管理者の課題となっており、流域面積・流域形状も異なっているため、研究目的にも沿うものである。検討の結果、構築した水位予測モデルは対象3河川の降雨流出を十分に表現できており、実用的な精度で60分先までの水位予測が可能であった。ただし、降雨データ(実況雨量・予測雨量)の精度が不十分な事例では、水位予測の精度が下がる結果となった。本検討で使用したXRAINは局所的な降雨をとらえられる一方、電波消散により強い雨を過小評価してしまう場合がある。課題として、CバンドレーダとXRAINを組み合わせるなどにより、雨量データの品質を確保することで、水位予測の実用性も確保できるものと考えられる。 また実施計画③に沿って、深層学習のほかに、近年有力とされる機械学習手法による水位予測モデルを構築し、既往研究の対象流域(1級河川)において適用性の検証を行った。今後は、都市河川においても同手法の適用を試みる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画では、研究2,3年目の実施計画には、「①様々な河川における精度検証を行う」「②予測雨量を用いた場合の精度検証」「③他の洪水予測手法との比較」を挙げている。現在までの進捗状況として、①②国内自治体の複数河川におけるモデル構築・精度検証、予測雨量を用いた場合の精度検証が実施できている。また③については、都市河川以外ではあるが、最新の機械学習手法の適用・精度検証を行った。 自治体や関係機関との関係や、コロナウイルスによる学会延期などに伴い、現時点では論文発表ができていないが、検討自体は進んでおり、今後の方針にも障害は生じていない。これらの状況から、研究はおおむね順調な進展している認識している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の3年目(最終年度)となる2020年度は、複数の実況降雨データ、予測降雨データを用いて、予測リードタイムに応じた精度検証を行う予定である。2019年度までの検討で、降雨データの精度がボトルネックになり得ることを確認しており、2020年度にはこの課題解決のための検討を行う。また近年のAI・機械学習の技術動向を踏まえて、新しい水位予測手法の適用を検討する。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルスによる学会延期や、自治体や関係機関との調整に伴い、学会発表・論文投稿が実施できなかったため。
|