2020 Fiscal Year Research-status Report
利用者への影響を考慮した高規格道路の大規模更新工事に関する計画方法の開発
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18K13847
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉浦 聡志 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30648051)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大規模更新 / 更新工事スケジューリング / ネットワークデザイン問題 / タブーサーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度構築した同時規制ネットワークデザイン問題とその解法について,地域の道路網を想定した実用規模の道路ネットワークへの適用を試みた.適用にあたっては,計算量負荷が大きくなりすぎず,例えば一般的な計算機で一日以上の計算時間となるように配慮する必要がある.まず,昨年度構築したモデルは,すべての工事を実行する予定期間を入力情報として与える必要があり,この数によって解空間が指数的に増大する特性がある.このため,あまりに大きな数を設定した場合に優良な解を得るためにはタブーサーチにおいて多くの繰り返しを求めることとなる.したがって,適当な数の工事区間を入力として与える必要があった.これについては,高速道路会社が想定する大規模更新工事の工事区間数を与えたときに,計算時間がどの程度になるかを確認することとした.また,昨年度では下位問題であるリンク交通量の推計に確率的利用者均衡配分(SUE)を仮定してモデル化していたが,この計算量により試行する戦略群の数が増えたときの計算時間が膨大となることが確認された.そのため,確率的利用者均衡配分ではなく,確定的利用者均衡配分とすることでこの課題の解決を図った.これは利用者の行動選択に関する仮定のみの変更であり,確定的利用者均衡配分でもモデル上,実用上の問題は大きくないと判断した.以上の条件により,北海道の道路網を対象として実際に予定されている高速道路上の大規模更新工事およびすでに完了した工事を工事箇所として提案モデルに適用した.その結果,現実的に想定される工事量程度の工事区間数であれば,十分に実用可能な計算時間で優良な解が得られることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間で遂行を予定していた検討項目は概ね完了しており,順調に進捗していると考える.ただし,Covid-19の影響により各種学会が中止や延期となったため,論文投稿のみが想定よりも遅れている.この対応として,次年度開催が予定されている研究発表会へ投稿した.これらの投稿,発表により本研究課題は完了としたい.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の二年目では,最適工法選択モデルの入力情報の整備が課題となっている.今後はこの入力情報の簡易な取得方法を検討する必要があるだろう.大規模更新工事の各種工法を選択するような詳細計画の段階において,設計に基づいた概算工費が算出される.したがって,このような大規模更新工事の施工が進むにつれて,施工条件等におうじた所要費用の情報は蓄積されていくものと思われる.現在この入手が困難であることから推計等に基づいたデータも用意できなかったが,今後の蓄積により,統計分析等に基づいた施工条件に応じた所要費用の推計が可能となるだろう.
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Causes of Carryover |
今年度はCovid-19の影響を受け,多くの学会等が開催されないかオンラインでの開催となり,本研究課題での成果投稿を見合わせた.次年度に緩和され,開催され,渡航が可能となることを期待して経費を先送りとした.次年度は,国際学会への参加を基本とするが,難しい場合には国内での発表等に切り替え,成果公表を目指す.
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Research Products
(7 results)