2019 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical analysis on store location taking account of the relation between inventory management cost and supply chain structure
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18K13849
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬木 俊輔 京都大学, 工学研究科, 助教 (50762382)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サプライチェーン / 商店 / 物流センター / 物流 / 立地論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2018年度に構築したモデルの現実的な応用を可能とするために、『(1)異質なメッシュ状の地区から構成される2次元平面状の空間を持ち、(2)物流センターが任意の地区に立地可能である』という特徴を導入した、広域圏を対象とした立地均衡モデルを定式化し、数値計算により均衡解を求めるプログラムを作成した。このモデルは、2018年度に構築したモデルと同様に、商品のサプライチェーン内における、在庫管理の協調を明示的に表現している点に特徴がある。個々の企業は、上流の物流センターから商品を仕入れている。多くの商店を対象に商品を卸している物流センターは、個々の商店が抱えている商店の需要変動リスクを集約することにより、商品需要を平準化し、効率的な運営を行うことが可能になる。ただし、一つの物流センターが都市内の全ての商店に商品を卸すことは非効率的である。商店への商品の輸送に長い時間がかかる場合には、商店は欠品に備えて在庫を積み増さなければならず、商店の在庫管理の効率性が損なわれるからである。そのため、都市内では様々な地区に物流センターが立地し、その周辺の商店に対して商品を卸すことになる。このモデル上では、都市内の道路整備により、特定の地区のアクセシビリティが変化すると、それに応じて物流センターや商店の立地場所が変化するという、サプライチェーンの再編が起きることになる。このモデルを用いることにより、都市内の道路整備による企業のサプライチェーンの再編の様子について、一般的な都市を想定して分析することが可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、作成した立地均衡モデルを用いて、仮想的な分析を実施する予定であったが、これを行うことができなかった。その理由は、現実の都市内における物流センターや商店の立地動向に関するデータの収集と整理を行うのに時間を要したためである。作成したモデルの有用性を示すためには、仮想的なパラメータ設定の下で分析を行うとしても、現実的な都市空間を対象に分析を行うことが必要であると考え、データの収集と整理に専念したために、以上のような遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
現実の都市内における物流センターや商店の立地動向に関するデータの収集と整理を完了する。そのうえで、本年度に構築した立地均衡モデルを用い、仮想的なパラメータ設定の下で、都市内の道路整備による企業のサプライチェーンの再編の様子について分析を行い、パラメータ設定に応じた再編の様子を定性的に整理する。さらに、現実のデータにモデルをフィットさせるように、モデル中のパラメータを推定する方法を開発し、モデルを実証的に活用する。これにより、モデルが有する定量的な予測効果について検証し、モデルの有用性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度末に外国人研究者を招聘し、研究に関する議論を行う予定であり、そのための招聘旅費を計上していた。しかし、コロナウイルスの感染拡大を受け、招聘が延期されたため、本年度中の招聘ができなくなった。来年度に改めて招聘を行い、繰り越した研究費を支出する予定である。
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