2019 Fiscal Year Research-status Report
防災行動定着のためのダイアローグマネジメント手法の開発
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18K13851
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
長曽我部 まどか 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (50757268)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 住民参加 / ワークショップ / 新聞記事 / テキストマイニング / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は主に以下の研究を実施した. 1. 単語の出現パターンに基づく災害復旧・復興プロセスの評価 災害時の課題の一つに復旧・復興の遅れがある.復興には人々の生活再建,地域経済といった様々な要素が関連しているため,複数の災害についてその過程を評価することは難しい.本研究では,災害に関する新聞記事に対し,機械学習の1つであるナイーブベイズ分類器を適用することで,複数の災害の復旧フェーズを推計することを試みた.フェーズの変遷から2つの災害の復旧プロセスを比較し,復旧の遅れを可視化した.2000年の鳥取県西部地震と2004年の新潟中越地震について,発災後1年間を比較したところ,鳥取西部地震の方が災害復旧のフェーズの転換が早期に移行したことが示唆された. 2. ビジネスフレームワークを用いた住民ワークショップの分析 まちづくりワークショップでは様々な議論のテーマが設定される.しかし,そもそも住民ワークショップに向いていないテーマもあると考えられる.そこで,鳥取県内自治体で開催されたまちづくりワークショップを対象として,テーマと意見を整理するためのフレームワークの関係を分析した.住民の意見1989件を分析した結果,話し合いをしたグループごとの意見の量とばらつきからテーマ(観光・産業など)とフェーズ(理想・課題・解決策の提案)を分類することで,ファシリテーションスキルが必要な部分を特定した.例えば,意見数が少なくばらつきも少ないテーマ(またはフェーズ)では,そもそも意見を出しにくいテーマ(フェーズ)である可能性があるため,ファシリテーションのスキルというよりは設計の練り直しが必要である.意見数とばらつきが大きい場合,全体的に意見は出たがグループ間の意見数にばらつきがあるため,ファシリスキルが必要,または参加者の構成に工夫が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は,(1)防災に関する社会的課題を明らかにするための技術開発と,(2)ワークショップのテーマとフレームワークの関係に関する分析を試みた.(1)は防災に関するキーワードから新聞記事を分類しある時点の主要なトピックを明らかにすること,(2)は話し合いのテーマと意見数の関係を話し合いのフェーズごとに明らかにすることを目的としている. (1),(2)ともに結果を得られたことから上記のように判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度は,防災教育に効果的なワークショップの設計に関する研究を行う.ワークショップにおけるファシリテーターは,参加者の意見を適切に整理しながら話し合いを進行する必要がある.しかし,どのような手順や手法で意見を整理すれば,参加者の情報共有やテーマへの理解に寄与するのかは明らかではない.そこで,ワークショップの量的な側面(意見を整理した付箋の情報)と質的な側面(ワークショップ前後の参加者に変化等)から,情報整理技術が参加者の行動意図に与える影響を明らかにする.
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Causes of Carryover |
予定していた消耗品を購入しなかったために差額が生じた.翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画は物品費として使用する.
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