2018 Fiscal Year Research-status Report
都市における「マナー違反」の見える化を通じた快適なみちづくり設計
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18K13853
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
吉城 秀治 福岡大学, 工学部, 助教 (40734926)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 注意書き / 迷惑行為 / 空間解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
街なかにおける迷惑行為への対策を進めることは、快適な都市づくりの上でも防犯上も重要なことである。その一方で、迷惑行為、とりわけマナー違反とされるような法令に反しない行為に関しては、取締りの対象とはならない行為であるためその発生位置情報が蓄積されないことに加え、一過性の事象である行為も多くその記録が困難であることなどの特徴がある。そこで本研究では、迷惑行為の発生特性を理解するために「注意書き」に着目した。福岡市中央区の天神・大名地区を対象として、まず街なかにおける掲示の実態を明らかにするとともに、注意書きによる迷惑行為の代替可能性について検討している。 まず、福岡市天神・大名地区を対象として注意書きの掲示実態を調査したところ、自転車利用者向けの「駐輪禁止・自転車放置禁止」が最も多くみられ、その他の注意書きとしてはドライバーに向けての「駐車禁止・駐停車禁止」や、「禁煙」「歩きタバコ禁止」といった喫煙者に向けての注意書きが多くみられた。中でも本研究では喫煙者に対する注意書きに着目し、喫煙に関わる迷惑行為の発生地点情報としての代替可能性を検討した。空間解析により、天神・大名地区における「喫煙行為に関わる注意書きの掲示位置の点分布」と「実際の路上喫煙行為者の観測地点の点分布」の関係について分析を行った結果、個人等の民間が掲示した注意書きの点分布と若年層の路上喫煙行為者の点分布は近接する傾向にあることが示されており、民間による注意書きによって若年層の路上喫煙行為者の発生地点情報を代替し得ることを明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
街なかに掲示されている注意書きの種類に想像以上の偏りがあり、過少であるため統計的な分析に耐えられない迷惑行為もみられ、それらに対する分析上の課題は残されている。その一方、喫煙に関わる注意書きと実際の喫煙行為の関係については、これまでに蓄積してきた研究データも活用しつつ予定通りに分析を進めることができており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
特定の条件下においては、注意書きは路上喫煙行為の発生地点を代替する指標になり得ることを明らかにしている。引き続き、この注意書きを代替指標として道路空間との関係についての分析を進めていく。さらには、本研究課題の最終年度となるため、研究全体成果のとりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
当初、研究室メンバー以外も動員した調査を予定していたため人件費を計上していたが、現地調査の効率化を図った結果、研究室メンバーのみでの調査が可能になり、人件費の支出を抑えることができたため。この次年度使用額については、さらなる研究成果の発表経費として使用する予定である。
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